TOEIC何点だとTOEFLで何点取れる?(続き)
数年前に「TOEICスコアから予測されるTOEFLスコア」について、以下のブログ記事を書きましたが
先日、AGOS JAPANが3,000を超える人のデータから作成したTOEICとTOEFLの換算表を発表しました。
» TOEICとTOEFL®iBTスコア換算表(アゴス・ジャパン調べ)を発表(PR TIMES)
» TOEIC700点はTOEFL iBTの53点、アゴス・ジャパンが換算表を発表(日刊アメーバニュース)
以下、発表された換算表になります。
3,000を超える人数の統計を取ったのは素晴らしい!
過去8年くらいのデータ集計は大変だったはず。
今回はアゴス・ジャパンが作成したこの表と、私の経験による分析を比較してみたいと思います。
まず私は以下のように書きました。
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私の感覚では、TOEICで900点台後半の人が、TOEFL対策をあまりしないでTOEFL iBT本試験を受けると90点台を取る人が多いと思われます。
同様に
TOIEC 900点台前半の人だと TOEFL 80点台
TOEIC 800点台後半の人だと TOEFL 70点台
TOEIC 700点台後半から800点台前半の人だと TOEFL 60点台
TOEIC 600点台から700点台前半の人だと TOEFL 50点台
という感じでしょうか。
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それに対して、アゴス・ジャパンの統計では
TOIEC 900点台後半、平均 TOEFL 88.0
TOIEC 900点台前半、平均 TOEFL 74.9
TOEIC 800点台後半、平均 TOEFL 66.8
TOEIC 800点台前半、平均 TOEFL 61.6
TOEIC 700点台後半、平均 TOEFL 57.2
TOEIC 700点台前半、平均 TOEFL 53.2
TOEIC 600点台後半、平均 TOEFL 51.6
TOEIC 600点台前半、平均 TOEFL 47.4
と赤字部分は私の予測よりも低い数値になっています。
数年前、私がTOEICスコアに基づく予測TOEFLスコアについて書いたとき「実際よりも厳しめなのでは」という意見もいただいたのですが、アゴスの統計の結果は、私の予測よりも低めになっています。
では私の予測が甘かったかと言えば、そうではなく、まずアゴス・ジャパンの統計の数値は「TOEFL iBTを『初めて』受験した人」に限定されており、初受験の場合は、試験の形式に戸惑ったり、その難易度に面食らって実力を発揮できない場合が多いので、その分、低いスコアになりがちといえます。
それに対して、私の場合「TOEFL対策をあまりしないで」という条件になっており「初回受験」に限っていません。
また過去のブログ記事では 以下のように私が提示する予測スコアよりも低めにでる可能性についても言及しています。つまり、今回のアゴス・ジャパンの統計は、以前に私が書いたことを裏付けるものであると考えています。
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ただ、中には
TOEICは高スコアなのに、TOEFLは上記の換算よりも低いスコアになってしまう
という方もいらっしゃるはずです。
そのような方は、過去に、TOEIC予備校に通ったり、質の良いTOEIC対策本に取り組むことによって、比較的短期間にTOEICスコアをアップされたかもしれません。
TOEICは、問われやすいポイントが絞られており、予備校に通わずとも、市販のTOEIC対策本で扱われたポイントがそのまま、または類似した形で出題されることも多いと聞いています。
よって、TOEICスコアは高いものの、TOEIC以外の英語への対応力が、そのスコアが示すほどには身についていないということが起こりえます。
「そのようなケースに自分が当てはまるかも」と思われた方は、自分のTOEICスコアから50-100くらいを引いたスコアをTOEFLを始めるにあたっての出発点としましょう。
例えば、TOEICで870点ある人でも、過去にTOEIC試験をよく研究している学校で、TOEICで出題されやすいポイントを効率よく学ぶことによって大幅なスコアアップを達成した結果、870点が取れたのなら、新たにTOEFL対策を始める際はTOEFLで70点台が取れる英語力があるとは考えないほうがいいでしょう。
ただ、アゴス・ジャパンのプレスリリースに基づく記事内には
「TOEIC700点⇔TOEFL®iBT53点(スコア換算例)」
「換算表によると、TOEIC700点はTOEFL iBT53点に相当するという。」
といったことが書いてあるのですが、そのような単純な「換算」はできないと考えます。
統計の対象者の60%以上がTOEICで800点以上の高得点を獲得しており、これらの方々の多くはTOEIC対策をそれなりに行った結果、800点以上のスコアを獲得したと推測されます。
それに対して、TOEFLの方は「初回受験」であることから、TOEFL対策を十分には行えていない状態でのスコアになります。
この表はこのような背景を踏まえて活用すべきです。
またこの表は「TOEIC → TOEFL」を示すものであり「TOEFL → TOEIC」の実力も示す双方向のものではありません。
私の「TOEIC → TOEFL」の換算も一方向のものであり「TOEFL何点の人はTOEICなら何点取れる」ということを示しません。
TOEICとTOEFLは、問題の対象となる分野、難易度、測定されるスキルなどが異なるため「片方で何点ならもう片方で何点取れる実力があると『認定』される」との判断はできるものではありません。
しかし今回のアゴス・ジャパンの発表は、統計による記録として極めて貴重であり、この表に基いて獲得が予測されるTOEFLスコアを考える際に有用と言えます。
その後、上記内容を含むYouTube動画を作成しました。
コメント
初めまして。ふらっと立ち寄ったものです・・・。先日2回目の受験でスコア90をとることができました(独学のみです。)。転職のために取得したのですが、私は自信をもって「英語ができます」と言っていいものか、悩んでいます。ここで、質問することではないのでしょうが、TOEFL90がTOEIC900点後半に換算できると知り、ついタイプしてしまいました。不意の立ち寄り、申し訳ありませんでした。
Yumiさん
TOEICの受験経験もあると思うのですが、TOEICのスコアはいくつになりますか。
そのスコア獲得はいつごろでしょうか。
また英検など他に英語力を示す資格がありましたら、お知らせください。
あと、90点の4セクションの内訳も教えて下さい。
よろしくお願いします。
Katsurayama
返信遅くなり、申し訳ありません。ご親切な回答を頂き、感謝しています。残念ながら、TOEICの受験経験はありません。ですが、英検は準1級で、10月に1級挑戦に向けて準備中です。4セクションの内訳は、R24, L21, S22, W23でした。現在、予備校の英語講師の書類選考中で、1週間後に採用試験、合格の場合は2次選考の模擬授業・面接となるそうです。
Yumiさん
ご返答いただき、ありがとうございます。
> 現在、予備校の英語講師の書類選考中で、1週間後に採用試験、合格の場合は2次選考の模擬授業・面接となるそうです。
ということであれば、TOEFLと大学入試試験の内容は異なるので、TOEFLのスコアよりも大学入試の問題で高得点が取れるかを測る予備校の採用試験の方がより重要なはずです。
TOEFL 90は高い英語力を示すアピールにはなると思いますが、1次試験の結果があまりよくない場合は採用されることはないでしょうし。
もともといただいたご質問「『英語ができます』と言えるかどうか?」ですが、予備校の方から「英語ができますか?」と聞いてくることはないでしょうし、またYumiさんが「私は英語ができます!」とアピールする機会もないはずです。
Yumiさんの英語力は、TOEFLや英検などですでに書類上に示されているので。
英会話の先生でなければ、面接で英語を話すことを求められることもないでしょう。
そのYumiさんの英語力を「高い」と思うかは、採用する側の判断に委ねられます。
「高い」なら2次選考に移ることになるのでしょうし、そうでないのなら書類選考や1次での採用試験までとなるのでしょう。
英語を教えることを仕事とされるのであれば、現在の英語力でも十分と判断してくれるところを探して、まずはそこで雇ってもらいましょう。
もちろん、今後就職活動が続くのであれば、または将来、別の職場を求めるのであれば、英検1級の取得やTOEIC、TOEFL高スコア獲得などできるだけ英語力を高めた方が有利になるとは思います。
しかし、英検1級やTOEIC、TOEFLでの高スコアがあれば必ず採用されるというものではなく、その辺は教える能力や、Yumiさんが働きたいと思った学校とYumiさんとの相性次第になります。
採用されなかったとしても、相性が悪かったと考え、別の学校・会社にアプライしましょう。
Katsurayama
お忙しい中、こんなにも丁寧な回答を頂きまして、本当にありがとうございます。おっしゃられるように、一次試験に合格しなければ話になりませんね。予備校から、大学入試程度の難易度と言われましたので、それに向け残り一週間ですが準備してみます。また、不採用の場合は、あきらめずに別の所にアプライしてみます。ありがとうございました。
Yumiさん
採用されるかどうかは、その学校の方針や採用担当者の好みによる部分が大きいと言えます。
私は前職の留学予備校で講師採用に関わっていたこともありましたが、優秀な方でも「教え方のスタイルが異なる」などの理由により、採用を見送らせていただくこともありました。
通常、応募者に対しては不採用の理由は伝えられないものですが、恋愛と同じで、自分を必要としない人は、どんな理由であれ自分にとって必要のない人と考え、よい出会いがあるまで前向きにアプライしていきましょう。
Katsurayama
AGOS JAPANの統計結果が恐ろしいほど当たっていると思います。
自分はTOEIC 950~970を取得しており,iBT初回受験は87点でした(ほぼぴったり統計結果と一致している!)
2回目の受験では3ヶ月の受験勉強することで100点突破することに成功しました。振り返って感じたことは,iBT 88点はTOEIC 900点台後半取得者の実力だとすれば,100点までの12点はほとんど受験テクニックと言っても良いということです。すなわち88->100の道は険しいとはいえ,英語の底力が問われることはなく,比較的に短時間で達成できる;特にspeakingとwritingはそれなりのコツが存在しているため,しっかり対策すれば必ず手に入るといってもいいぐらいでしょうか。受験勉強をしている方はぜひ自信を持ってほしいです!