TOEFLとはちょっと離れて、Listeningが難しい理由を考える その2
以下、2017/04/09 の記事の再掲載です。
» TOEFLとはちょっと離れて、Listeningが難しい理由を考える その1
の続きです。
「Listeningが難しい理由」の2つ目。
2.「話のスピードに追いついていけない」
話されている単語・表現は聞き取れるものの、話が速くなると理解が追いつかなくなる。
こういう体験、ありますよね。
「最初に問題を聞いたときに理解するのが難しかったのに、ディクテーションをしてみると意外と単語・表現は聞き取れる。音声は聞き取れているのに、何で分からなかったのだろう?」
ご相談いただいた受講生の方も
「それぞれ話者が話している”単語”は凡そ聞こえているのですが、それがどういうわけか意味として頭に入ってきません。」
とおっしゃっていました。
「問題を最初に聞いたときにはあまり分からなかったのに、2回目だとかなり理解できる」
というのも似たような悩みのパターンと言えますでしょうか。
なぜこのような状態になってしまうのか?
そのひとつの理由が「表現への慣れが十分ではない」。
以下の文を音声で聞いたとします。
I think they might have been caught up in a heavy traffic jam on their way to the beach for a picnic this morning.
知らない単語はありませんよね。
traffic jam「交通渋滞」は問題ない、ということでよろしいでしょうか。
ちょっと難しめと思われるのが、caught up in「〜に巻き込まれる、つかまる」。
もしこの表現を知らないと、その時点で「ウッ」となり、その後の表現(heavy traffic jam, the beach for a picnic, this morning)を聞き逃すかもしれません。
しかし、この (be) caught up in、熟語としての意味を知らなくても、「読めば」どういう状況か分かりますよね。
そう「読めば」。
Readingのは自分のペースで進められます。
ですが、Listeningは相手のペースで進みます。
こちらが (be) caught up in という表現を知らない/表現に慣れていないということに配慮してくれません。
caught up in の表現が聞き取れても、その意味が瞬時に大まかにでも理解できないと、その後の理解の妨げになるかもしれません。
同様のことは might have been「〜であったかもしれない」においても言えます。
この表現に慣れていなく「どういう意味だっけ」と考えていると、その後の理解が浅くなります。
ということで、ゆっくりとなら意味が分かる/推測できるという状況でも、表現を「瞬時に」理解できるほど慣れていないと、速いスピードでどんどん話されていくのについていけなくなってしまいます。
また別の理由として挙げられるのが「文が長くなると理解が追いつかなくなる」。
先ほどの文だと
I think / they might have been / caught up in a heavy traffic jam / on their way to the beach / for a picnic / this morning.
というような感じで、数語の意味のまとまりに対して、英文が提示する流れに従って理解しなければなりません。
「英語を日本語に訳して理解しようとしてしまう」という人は、英文が短く、ゆっくり話されているうちは対応できても、英文が長くなり速く話されるとスピードに追いつけなくなります。
上の例のように
I think /
they might have been /
caught up in a heavy traffic jam /
on their way to the beach /
for a picnic /
this morning.
というような流れで上から提示される意味を理解しなければなりません。
そのためには「英文→日本語訳」と変換するのではなく、英文が提示する情報の流れのまま理解していくことに慣れる必要があり、英文を日本語訳したり、文法構造を気にしては処理速度が間に合わなくなります。
英文の音声を聞いた後、スクリプトを見ながら聞いた音声を真似するようにリピーティングする、また英文を声を出しながら音読するなどの学習法の実践により、英文が提示する情報の流れにそってそのまま理解するのに慣れることができます。
先ほど「2回目だとかなり理解できる」という悩みに触れましたが、2回目だと長い文に対し、1回目で聞き取れなかった/理解できなかった場所のみに集中すればよいので、より理解できて当然と言えます。
大切なのは、1回目からその長い英文が提示する情報を処理できるほど、その文で使われている表現に慣れること。
「2回目だと分かる」なら、まだ表現への慣れが不十分で、処理速度が遅い状況にあると考えましょう。
今回の投稿はここまでとします。
Listeningが難しい理由 2つ目の「話のスピードに追いついていけない」については次回にもう少し続けます。
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