「GMATを始めたらTOEFL Readingのスコアが下がってしまった」を考える
先日、ウェブトフルのReading Delta 18 Dayコースをお申し込みいただいた方からいただいたメールに
GMATを始めて、TOEFL Readingのスコアが下がってしまった。
というコメントがありました。
もちろん、スコアというものは実力が変わらなくても、当日の問題や体調、集中の度合い等によって上がったり下がったりするので、1回だけの結果ならスコアが下がったとしても何の不思議はありません。
しかし、この方の場合は、GMAT対策を始めた後、以前なら取れていた高得点が取れなくなってしまった、ということなので、単に運だけの問題ではありません。
一般的に
GMAT対策を始めると相乗効果でTOEFLのスコアが上がる、特にReadingには効果がある
と言われています。では
なぜGMAT対策を始めた後、TOEFL Readingのスコアが下がってしまうことがあるのか?
もちろん、
TOEFL、GMATそれぞれの試験で「出題される問題の形式」「使われる単語」「求められる背景知識」等が異なるから
とは言えますが、他にも理由があるのではと思い、私なりに考えてみました。
GMATは特殊なテクニック・知識が求められる試験であり、そのようなテクニック・知識の習得が高得点獲得のカギになるという側面があります。
また高度な論理的思考が求められ、その対策としての訓練が必要です。
GMATのこのような特徴によって、帰国子女や留学経験の長い、自分の英語力に自信を持っている人たちがGMATでの高得点獲得を阻まれ、MBA留学を断念するのを見てきました。
とは言っても、GMATのこのような特殊な側面ばかりにフォーカスした対策ばかり行うと、GMATでは正解率が上がっても、英語力自体は大して上がりません。
もちろんGMATの問題は英語で書かれていますから、英語を媒介として内容を理解するのですが、そこで行われている作業は「間違いパターンの認識」であったり、「瑕疵を論理的に見つける作業」であったりすることが多いのです。
よって、長時間GMAT対策を行っても「英語表現が示す意味をそのまま理解する」という作業を行っている時間はあまり多くはないかもしれません。
特にTOEFLのReading、Listeningの合計で50以上が安定して取れないような方がGMAT対策を始めると、自分の英語力が足りない部分を、テクニックや特殊な知識によって補おうとする側面が強くなる恐れがあると思われます。
その場合、英語表現を「理解」するというよりも、英語表現を「分析」することに一生懸命になっているかもしれません。
英語表現を「分析」すると、当然「理解」するよりも時間がかかるため、触れる英文の量は少なくなります。
また表現の「分析」のため立ち止まりながら読んでいると、表現を大きな意味のまとまり(例えば1文)として捕らえることが難しくなり、表現への慣れを阻害するかもしれません。
例えば、実際に日本語の文章を読む際、「て・に・を・は」などの助詞の使い方をいちいちチェックしながら読んでいくと、1文や、数文のかたまりを、意味のまとまりとして捕らえることが難しくなりますよね。
しかしながらGMATの問題を特殊なテクニックや知識に基づいて、分析的に解くことは必要なので、それをやめるべきということではありません。
GMAT対策の特殊性からも、これまでお伝えしたように
TOEFLで最低必要な目標スコアを獲得した後、GMAT対策を開始した方がよい
と言えるかと思います。
またTOEFL対策においても、ReadingやListeningの解法習得ばかりに熱心になるのではなく、
ReadingやListeningの問題の取り組みの仕上げとして、「パッセージを理解しながらスラスラ読めるようにする」「表現が聞き取れ、意味が理解できるようにする」
ことを欠かさずに行いましょう。
インプット処理能力の向上には、多くのインプットを意味あるものとして理解していくことが大切です。
GMAT対策によってTOEFLへの相乗効果を得られる人は、GMAT問題に対して、「分析」にばかり執着するのではなく、内容を「理解」して答える割合が多いと言えるかもしれません。
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