TOEFL Reading:本試験レベルの問題を多く解いていけば、スコアは上がる?
最近いただいたウェブトフル受講生の方からのご相談に
これまでReadingは独学で、Official Guide(青い本)やOfficial Tests(赤い本)などのETS作成の問題を多く解いているのだが、スコアが上がっていない。
という内容のものがありました。
「TOEFLのReadingセクションは、一番スコアが上がりやすい」と考えている人が多い、またはReadingにおいては、他のセクションほど苦労をせずに目標スコアを達成した人が少なからずいらっしゃいます。
TOEFL Readingは、日本の英語教育の中での学習の成果が一番発揮されやすいセクションだからです。
(Listening、Speaking、Writingにはあまり時間が費やされていないということではありますが)
しかし、TOEFL対策を長らく指導してきた身として、Readingのスコアアップに苦労している人は実はとても多いと考えています。「Readingは楽だった」という人たちの発言を信じ、適切なReading対策が行えていないため、かえってTOEFL Readingを「こじらせている」。
今回はTOEFL Readingでスコアが伸び悩んでいるひとつのパターン、「本試験レベルの問題に多く取り組んでいるのに」について書きます。
ETSが作成した良質の問題を多く解いているのに、なぜReadingスコアが上がっていかないのか?
話は大幅に脱線します。
私は大学生時代、漫画の「ナニワ金融道」を読み、法律をいくらか知っていないと人生において大きな失敗を招くかもしれないと恐れ、専攻は社会学であったにも関わらず、大学の勉強はそっちのけで、行政書士の資格勉強を始めることにしました。
それまで法律は一般教養で「憲法」くらいしか勉強したことがなかったので(それも単位取得のみが目的で、熱心に学んだとは全く言えず … バブルの時代のダメな学生の典型という感じでした)、資格試験予備校のTACに通い始めました。
そこでの授業・教材では「何ができなければならないのか・覚えなければならないのか」「何ができなくてもいいのか・覚えなくてもいいのか」が非常に分かりやすく、システマチックに解説され、深く感銘を受けたことを今でも覚えています。実際に数ヶ月後の試験に合格できたのは、TACの効果的な授業・教材のお陰でした(実際にTACでの対策以外に何も行っていませんでした)。
当時、行政書士試験対策として最初から過去問全体に取り組んでいたら、まったくチンプンカンプンの内容に挫折したことは間違いありません。しかしTACでは出題内容と問われやすいポイントを細分化し、またポイント理解を助けるために簡略化された問題を繰り返し提示することによって、段階的に実力が向上するようカリキュラムが組まれていました。
長くなりましたので、TOEFLの話に戻します。
本試験レベルの問題に対して十分な理解力や分析的な視点を持っていないと、多くの問題に取り組んでも消化吸収が十分に行われず、実力はあまり伸びないという結果になりがちです。
Readingであれば、特に20点以下くらいの方が、「いきなり」Official Tests(赤い本)の問題などを多く解いても、現在の自分の実力でどのくらい正解できるかは確認できても、「効果的に」Readingの実力アップは図れないと考えます。
(「実力が伸びない」とまでは言いません。問題から単語だって学びますし、背景知識も身につきます。しかし、問題解法の視点を磨くことができたり、内容を深く理解できるところまでたどり着けるかは疑問です。)
誰にとっても、問題は「難しければいい」「本試験にできるだけ近い方がいい」とは私は考えません。
私が考える良い問題とは「その人の実力を向上させ、スコアアップの可能性を高めてくれる」もの。
ある人にとっては、それが過去問になります。
しかし別の人には、問題のポイントを絞った、簡易化された問題の方がより適切なのです。
このトピック、似た内容を過去に書いています。
是非、以下のブログ記事を一読ください。
失敗しやすいTOEFL対策 その4「ETS作成の問題・過去問に取り組むのがベストと考えている」(2015年7月30日)
コメント