【再掲】関係代名詞のthatとwhichの用法の違いについて説明します 「添削でwhichをthatに修正されたけど、どうして?」
以下、以前に書いた記事の再掲です。
トフレのWritingコースで提供するエッセイ添削では、ネイティブスタッフからの添削やコメントに対して直接質問できます。添削者に対する受講生の方の質問でよくあるのが
「関係代名詞のwhichをthatに修正されたけど、なんで?」
というもの。まず皆さんに理解いただきたいのが
関係代名詞のthatとwhichはinterchangeable「入れ替え可能」ではない!
英文法では「関係代名詞の制限用法では thatとwhich、どっちを使ってもOK」とよく説明されますが、TOEFLの採点官である北米のネイティブスピーカーの多くはそのように考えません。
以下の文を読んでください。
Students cannot take courses which are not approved by their advisors.
この文は、北米のネイティブスピーカーからは以下のように修正される可能性が高いと言えます。
Students cannot take courses which that are not approved by their advisors.
この文は「制限用法の関係代名詞」が用いられた文と説明されます。
制限用法の節(restrictive clauses)を導く関係代名詞の前にはカンマがつきません。
また制限用法の関係代名詞の文では、関係代名詞以降の表現[関係代名詞節](ここではthat are not approved by their advisors)が不可欠であり、その部分なしには文が成立しません。この文なら
Students cannot take courses.
と関係代名詞節がないと「生徒はコースを取ることができない」となり、何の話か全く分からなくなってしまいます。
それに対して「非制限用法の関係代名詞」の文では、以下のように関係代名詞節の部分(赤字)がなくても文が成立します。
非制限用法の節(non-restrictive clauses)にはカンマがつき(文中に使われる場合はその前後に)、非制限用法の関係代名詞としてthatは使えません。
Kombucha, which is a tea made out of seaweed, has been consumed by many different cultures across the world for thousands of years.
The company is located in Sapporo, which has a population of just under 2 million people.
Kate got injured and couldn’t compete in the final, which was really disappointing for us.
(ここでのwhichはその前の文全体を意味する)
非制限用法の関係代名詞節はなくても文として問題なく、補足的な説明を加える働きをします。
ここまでの理解はいいでしょうか。
ということで、「制限用法」の関係代名詞において thatを使うか whichを使うか迷ったら thatにしましょう。
上記の内容に対して「いや、そんなこと文法書には書いていない」と思われる人もいるかもしれません。
以下、Grammarlyの記事ですが、「制限用法のwhich」は British Englishではoften acceptableと説明されています。
» Restrictive and Nonrestrictive Clauses—What’s the Difference?
Deciding between That and Which
Confusion about when to use that and which has arisen for good reason: British and American English have different rules for them. In American English, that is used to introduce restrictive clauses, and which introduces nonrestrictive clauses.
The lamp, which was given to me by Aunt Betsy, is on the bedside table.
The lamp that Aunt Betsy gave me is on the bedside table.
In British English, it is often acceptable to substitute which in restrictive clauses.
The lamp which Aunt Betsy gave me is on the bedside table.
よって、制限用法のwhichは「文法的に間違い」とまでは言えないものの、ネイティブスピーカーの多くは以下のような文に違和感を持ち、whichをthatに変えるべきと感じることはご理解ください。
I needed a book which would make me laugh out loud.
(ここでは単に「本が必要だった」のではない。「大声で笑わせてくれるような本が必要だった(その他のタイプの本はいらなかった)」ということであり、関係代名詞節の情報は不可欠。whichではなくthatを使った方がいい)
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