【改訂版】大学院留学最初のセメスター その3
「大学院留学最初のセメスター その2」の続きです。
私の座右の銘のようなものとして
You can’t win them all.
という表現があります。この表現は負けたり、失敗した人を慰めるときによく使われます。
私は、自分がしていることがうまく行かない場合に自分に対する慰めの言葉として思い出すこともありますが、それ以上に、自分が何かを判断するときにこの表現を振り返るようにしています。
私にとってはこの
You can’t win them all.
は「選択と集中」と似ていて
「勝つために何を諦めるか(その結果、何に集中するか)」
を意識するときに頭の中で繰り返します。
大学院留学、初めてのセメスター。
「周りの学生の言うことが理解できない。」
「クラスで発言ができない。」
「クラスへの準備が十分にできない。」
という問題を抱えていました。
クラスでは毎回多くのReadingの課題が出ました。1つのクラスは週に2回あり、2-3日後の次のクラスまでに何十から百を超えるページ数の課題を読まなければなりません。またただ読むだけでは十分ではなく、課題の範囲から意見を求められます。
「大学院留学最初のセメスター その2」で書きましたが、
「英語でのコミュニケーション力向上のために事務局の受付バイトの継続を決断するにあたって、その分クラスの準備が疎かになってもよい」
ということにしました。しかしながら「クラスへの準備が不十分だから発言ができない」ままではよくありません。私の留学の一番の目的は、英語のコミュニケーション能力の向上。クラスで話せないままでは目的は達成できません。
まず私が諦めたのは、課題の読み物を通して英語力をアップさせること。
最初は色気がありました。多量の読み物を通して専門知識だけではなく、自分の英語力の向上も狙っていました。Reading力を高めるために課題を一字一句読み、分からないところを見つけ、辞書などで確認することによって潰していました。
しかしそのような読み方を行っているとなかなか読み終えられないだけでなく、読み終えても自分の中でポイントが十分に整理できていないことがありました。確かに課題の読み物を通しての英語力の養成は私にとって大切なことでしたが、このままでは授業についていけなく、クラス内で発言ができないままになってしまいます。
そこで私は課題の読み物を通しての英語力の向上を諦め「課題はすべて読み終わらなくてもよい」ということにしました。
課題への新たな読み方は
まず課題の範囲にざっと目を通す。
自分にとって面白そうなところを見つける。
そこは読み、自分の意見を簡単にまとめる。
終わり。
(時間の余裕があれば他も読む。でも読み方は上と同じ。)
授業内で自分が読んでいないところが議題になっているときは、自分から参加することはなく、ただ聞いているだけとしました。
例えば、次回のクラスまでに5つの論文を読むという課題が出たとします。次のクラスではその5つの論文に対して意見を述べることが求められます。
英語の論文は、だいたい最初にまとめが書いてあります。また重要な内容はほとんどの場合、最初の方に書いてあります。
5つの論文の最初のあたりを流し読みし、それぞれの論文の内容を大雑把に把握します。そして 5つの論文のうち、自分にとって面白そうなものを1つ選びます。
(教授やクラスにとって興味深い意見を自分が述べられそうなものを選択)
まず論文のいくつかの章の最初のあたりをざっと読み、概略を理解します。その後、最初から読み始め、自分の意見や思ったことを書き込んでいきます。
(もし1つの論文さえ読む時間がなければ、その論文の中で面白そうなところだけ読み、その箇所に対する自分の意見や思ったことをまとめます)
論文に対する自分の意見や考えの中で、教授やクラスの人が面白がりそうなところを選択し、そこに関しては意見を述べられるように準備します。
ノートなどにポイントをまとめてもいいでしょうし、実際に自分が話したいことを原稿として書いてもいいでしょう。次のクラスを想定して、まとめたことを一人で話してみることも有効です。
どこまでやるかは、クラスで自分が話すためにどれだけ準備が必要かによって決まります。例えば、ポイントをまとめただけでは上手く話せなかったのなら、次は原稿を書いたり模擬スピーチをしてみましょう。
また、クラスで自分の意見を述べるタイミングを事前に決めておきましょう。
授業の中で、その論文の話に移ったときか
教授がいつものように学生に意見を求めたときか
クラスメートが意見を言った後、その意見に対して例を挙げて補強したり、または反論するのか
とにかく、クラスの中で1回手を挙げて意見を言うと決める。そのために必要な準備を何よりも優先させましょう。
発言するようになると、自分の意見に同調してくれる人が現れ、クラスメートとの距離が縮まります。
(2回目のセメスターの時ですが、あるクラスで私の意見が教授によって否定されたときに、授業後は何人かのクラスメートが私のところに来て、私の意見の方が正しいと思うと伝えに来てくれたこともありました。)
とはいっても実際の授業の中では、自分が準備した論文に対して教授が学生に意見を求める機会を与えなかったりと、発言したくてもできないときもあります。そんなときは仕方がありません。その日は発言がゼロでもよしとしましょう。ただできれば授業後に仲のよいクラスメートを捕まえて、準備してきた自分の意見を聞いてもらい意見交換をしましょう。
えっ?「自分が十分に読んでいないところに関して、指されて意見を求められたらどうするか」ですか?
それは困りますね。でも日本の大学(院)で同じような状況になったら皆さんはどうします?
おそらく、その場で思いつく限りのことをことを話したり、「すみません。その論文まで読む時間がありませんでした」と謝罪したり、「そこは自分にとって興味がもてなかったので、あまり考えてきませんでした」とテキトーに返答しますよね。
できないものはできないと言う。しかしクラスの中で「できる」部分を増やしていけば、だんだん楽しくなってきます。
You can’t win them all.
完璧を目指していはいけません。すべてを得ようとするとどれもそこそこの結果になりがち。
それよりもある部分は諦めることによって残りの部分に集中し、そこでは人より秀でた結果を出す。自分が活躍できる部分が増えれば、より積極的になれます。
次回の「その4」では、授業でのListeningに対して私が何を行い、何を諦めたのかについて書きます。
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