トフレのWritingコースの受講生の方から、以下のような質問をいただきました。
(Academic Discussionコースの)5点のサンプル回答にて ◯◯、△△、▢▢ などと同じ意味の表現を言い換えて使い分けているのはなぜでしょうか。全て一緒ではダメなのでしょうか?
今回は、このご質問に対してブログ上で回答します。
Academic Discussionコースで提供する評価点5レベルのサンプル回答は、同じ表現を繰り返さないように心がけて作成しました。
問題のキーワードで繰り返し使わざるを得ない場合以外は、できれば2回までになるようにしています。
(基礎的な表現:冠詞、be動詞、代名詞、can、will などは除きます)
では、なぜ同じ表現の繰り返しを避けるのか?
1.e-raterからの評価を上げるため
Writingセクションではe-raterというAIが受験者の回答に対して評価点をつけます。TOEFL Writingにおいてe-raterからよい評価をもらうことは大切です。最近のETSのディレクターの発言では「Writingにおいて人間の採点官の評価とAutomated Scoringの評価の重要性は同じ」とのこと。
The features of the e-rater scoring engine currently include:
以下、現在のe-raterが評価をする際のポイント:
・content analysis based on vocabulary measures
(語彙の測定に基づく内容分析[使われている語彙をもとに、文章の内容や関連性を評価])
・lexical complexity/diction
(語彙の複雑さ/言葉の選択[どれだけ豊かで洗練された表現を使っているかを評価])
・proportion of grammar, usage and mechanics errors
(文法、語法、記述における誤りの割合[英文中にどれだけのエラーが含まれているかを割合で測定])
・proportion of style comments
(文体に関するコメントの割合[英文としての自然さ・読みやすさ・明快さ・一貫性という文体における問題点がどれだけあるかを割合で測定])
・organization and development scores
(構成と展開に関するスコア[構成の明確さと展開の深さや説得力を数値化])
・rewarding idiomatic phraseology
(慣用表現の使用を高く評価[英語らしい慣用表現や自然なフレーズをうまく使えるとプラスに評価])
e-raterの特徴として以下が挙げられていることからも、同じ表現や語彙の過度な繰り返しによって評価点が下がる恐れがあると分かります。
・lexical complexity/diction
(語彙の複雑さ/言葉の選択[どれだけ豊かで洗練された語彙を使っているかを評価])
そのため、卜フレのAcademic Discussionの評価点5点レベルのサンプル回答では、同じ表現の繰り返しが目立つのを避け、表現が多様になるようにしています。
また同じ表現の繰り返しが多いと、文章のスタイルが単調になったり、構成・展開にも悪影響を与えるリスクがあります。
2.様々な表現を学ぶ機会にし、表現力を向上させるため
サンプル回答ではさまざまな言い回しを使いながらも、難しくなりすぎないことを心がけています。
例えば「職場」に関する問題の場合、
workers / employees / staff members / team members / workforce
などを用い、workers または employees ばかりにならないようにしています。
以下、以前に書いたトフレのAcademic Discussionコースの評価点5レベルのサンプル回答についての記事ですが、
そこで紹介したサンプル回答では、青、赤、紫で書かれた表現が同様の意味を表しています。
(問題の一部)Do you think it is necessary to mandate that teachers take courses every few years, so they stay informed about the latest developments in their fields?
「教師が自分の専門分野の最新情報を把握し続けるように、数年ごとに講習を受けることを義務づける必要があると思いますか?」
(サンプル回答)
The idea of imposing mandatory professional development courses on teachers every few years may seem beneficial for keeping them updated. However, I concur with Beth’s perspective that such a policy can be overly burdensome. Many educators are already overwhelmed by their current responsibilities, which include planning lessons, grading, and managing extracurricular activities. Therefore, adding compulsory courses could lead to burnout and reduce the quality of education. Instead, a more voluntary and supportive approach would be preferable, offering workshops, conferences, or online courses that teachers can choose based on their specific needs and interests. These flexible, optional learning opportunities enable educators to enhance their skills and teaching methods at their own pace.
※ Academic Discussionにおいてこのようなサンプル回答が書けなければならない、ということではありません。こちらは評価点5(満点)が取れるサンプル回答であり、またサンプル回答の文をひとつずつ覚えることにより、表現力を向上させる意図をもって作成しています。
まとめ
以上が、トフレのWriting(Academic Discussion)コースのサンプル回答において、同じ意味の表現への言い換えが多様されている理由です。
また、一般的に英文ライティングでは「同じ表現の繰り返しを避け、言い換えて表現すること」が好まれる傾向があるのも理由のひとつですが。
ここでご理解いただきたいのは「同じ表現を何度も繰り返したらダメ。評価点が下がる」と断定しているわけではありません。例えば、上のサンプル回答で「educatorsを使わずにteachersを4回繰り返したら評価点5が取れない」というものでもありません。ですが、ときに評価点5と4、4と3、3と2の差はわずかであり、こうした小さな差が評価に影響を与えることがある点はぜひご理解いただきたいところです。
上の話は基本的にAcademic Discussionの回答についてであり、Integrated Writingでは同じ表現の繰り返しをあまり気にする必要はありません。なぜなら、Integrated Writingの問題は内容自体が多様であり、ReadingやListeningの内容を書いたら必然的に表現はさまざまになります。ただし、テンプレートのところで the reading says …, the speaker says … のように同じ表現を繰り返すと評価点が下がるかもしれないので注意しましょう。