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【改訂版】発音とListening Comprehensionの関係

以下、過去記事を大幅に書き直したものです。

 

Listeningコース受講生のAさんからListeningにおける発音の役割に関して以下の相談をいただきました。メールの一部掲載の許可をいただきましたのでブログ上で回答します。Aさんと同じような疑問を持っている方も多くいらっしゃるかと思いますので。Aさん、掲載に快諾いただきありがとうございます。

 

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英語の発音に関してご相談させていただけませんでしょうか。

先生の学習方法は、

「聞こえた音を、自分で完全に真似て発音する、自分で発音ができない音は聞こえない」

という趣旨で、発音を意識した学習になっているかと思います。

いかにも日本人的で「英語の勉強のための勉強」のような質問で恐縮ですが、リスニングができるようになるには、

「ネイティブの発音を自分で完全に真似て発音できるようになることが必要であり、自分で発音できないものは聞き取れない」

ということから考えますと、まずは「日本語とは違う英語の舌の位置」など、発音の基盤となることを学ぶことから始めないといけないのではないかと感じています。
(私は、舌の位置などを意識して英語の発音を学んだ記憶があまりなく、発音記号も読めません)

そうした発音の基盤がない中で、今のように「自分なりに」ネイティブを真似て発音をし続けることに、疑問を感じ始めています。

例えば、私の友人に2年間留学した者がいますが、帰国後にTOEFLを受けた際、S以外のセクションは満点近かったのに、Sは23点(発音が苦手な日本人の壁というべき点でしょうか)で、結局留学しても発音の能力が上がらなかったと嘆いていました。

その友人が言うには、「舌の位置を意識した発音」「発音記号」の勉強から始めないと、(正しい舌の位置や口の動かし方がわからない)独学では発音の向上が望めないということでした。

少し考えすぎかもしれませんが、私の考え方に対するご意見と、発音の向上に最適な教材がありましたら、お教えいただけませんでしょうか。
(ここで私が意味する発音は、舌や口の動かし方といったことであり、対面で誰かに教わる以外に方法がない気もいたしております)

「理屈っぽくそんなことを考える前に、自分なりに聞こえた音を真似て発音すればよい」ということであれば、引き続きそのように勉強を続けたいと思っていますが、リスニング力があまりに伸びないため、勉強方法に確信を持たせるためにも、大変恐縮ですが、お教えいただけると幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

 

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発音に関して、私は

>「聞こえた音を、自分で完全に真似て発音する、自分で発音ができない音は聞こえない」
>
ネイティブの発音を自分で完全に真似て発音できるようになることが必要であり、自分で発音できないものは聞き取れない」

とは考えていません。

そのような発言をListeningコース内で話したことも、過去にブログで書いたこともないはず。

 

発音が上手でなくても、Listeningの実力を上げ、スコアアップを達成することは十分に可能です。

 

発音が決して上手くはない移民の人が何の問題もなくコミュニケーションを取っているのは、留学したら日常的に目にする風景。

 

発音が上手にできなくても、発音を正しく聞き取ることは極めて大切です。

 

だからこそトフレのListeningコースでは「英語の発音上の音声の変化や省略」に関して授業内で説明しています。

 

例えば、アメリカ人の友人に Why don’t you meet her there at eight? と言われたとします。この文では細かいものも含めて様々な音声の変化や省略が起こりますが、ここでは meet herだけに注目します。

meet herですが、herのhの音が消えるような形で発音される場合があります。hの音が消えれば、meet (h)er となり、meetのtが前後の母音に挟まれます。tが母音には挟まれると北米の英語では多くの場合、「トゥ」の音ではなく、軽い「ドゥ」と濁った音になります。

よってmeet herをカタカナにすると「ミードゥァー」という感じの音になりえます。(カタカナで表現するのはかなり難しいです)

 

「ワィ ドンチュー ミードゥァーゼァ アッ エイッ」と言われても

 

Why don’t you meet her there at eight?

 

に対して「ホワイ ドンチュー ミィートゥ ハーゼァ アットゥ エイトゥ」という音しか知らなければ、表現を聞き取れません。

 

ということで、Listening理解度を上げるための1つのポイントとして実際に頻繁に行われる音声の変化や省略に慣れることが挙げられます。そして、変化・省略された音声に慣れるための手段の一つとして、音声の変化や省略の法則を学ぶことは非常に有効です。その上で

 

音声が聞き取れなかった表現・音声に慣れていない表現を含む文を、問題の音声を真似るように発話しましょう。

 

また

 

> そうした発音の基盤がない中で、今のように「自分なりに」ネイティブを真似て発音をし続けることに、疑問を感じ始めています。

 

とのことですが、目的はListening力アップのためにネイティブが実際に使う発音を知り、慣れることであって、そのために「『自分なりに』ネイティブを真似て発音し続ける」のは問題ありません。発音をできるだけ正確に真似ようとすることによって、音声への慣れを養うことができます。

 

しかし「『自分なりに』ネイティブを真似て発音し続ける」ことによって、自分の発音が向上するかというと必ずしもそうではありません。AさんもAさんの友人も以下のように言っています

 

> 例えば、私の友人に2年間留学した者がいますが、帰国後にTOEFLを受けた際、S以外のセクションは満点近かったのに、Sは23点(発音が苦手な日本人の壁というべき点でしょうか)で、結局留学しても発音の能力が上がらなかったと嘆いていました。

> その友人が言うには、「舌の位置を意識した発音」「発音記号」の勉強から始めないと、(正しい舌の位置や口の動かし方がわからない)独学では発音の向上が望めないということでした。

 

Aさんの友人が

 

> S以外のセクションは満点近かったのに、Sは23点

 

であったのは、発音の問題よりは試験形式への慣れの問題と考えます。発音が非常に上手でなくても24以上を獲得することは可能。ですが TOEFL iBTのSpekingにおいて発音の良し悪しが採点官の印象に影響を与えることは間違いありません。実際に

 

> 独学では発音の向上が望めない

 

方は多いと思います。発音が上手くできていないところは本人には分からないことが多いので。しかしながら、YouTube 動画や発音に関する本などで、自然な発音とイントネーション(抑揚)、また発音の理屈(口の形、動かし方など)を知ることは役立つでしょう。私からはどれがお勧めとは言えませんが、発音に関しては今はYouTubeで少し検索すれば様々な動画が見つかります。発音を向上させたい方は、自分にとって興味が持てる動画を見つけたり、大きな書店に行って発音に関して分かりやすく説明しているものを探して取り組むといいでしょう。

 

TOEFLで評価点3獲得(22−23点)狙いなら発音は、聞き手があまり苦労してないで理解できるレベルで十分。しかし発音を向上させたいならオンライン英会話などを通して、直接ネイティブスピーカーからフィードバックをもらい、自分の発音・イントネーションを修正した方がいいでしょう。教材の中に出てくる文や、自分で作成したSpeaking問題への模範回答を読みあげ、発音・イントネーションでおかしいところを指摘してもらい、お手本を繰り返しまねる作業を継続すると確実に向上します。このような機会は発音の専門家と行うのが一番なのでしょうが、丁寧に指摘してくれるネイティブスピーカーとなら効果的な学習ができます。

 

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