「問題集の正解率は高いのに本試験のスコアは低い 」を考える
受講生の方々から
「問題集の問題はあまり間違えないのに、本試験ではよいスコアにならない」
という相談をいただくことがよくあります。
なぜそのようなことになるのか。
今回はその理由をまとめることにします。
理由1:本試験の会場と自宅では環境が異なる
Reading問題の場合、PC画面上だと問題が解きにくいと感じる方は少なくないでしょう。
紙の上で問題を解くと、視野を広く使え、先にどのような問題が出題されるかを確認できます。
PC画面上では、問題とパッセージを行き来して、視線をパッセージに戻した時、少し前に読んでいた場所を失いやすいと言えます。
また、単にPC上で英文を読むことに慣れていないという方もいらっしゃるでしょう。
PC画面上で問題を解くのが苦手という方は、その経験を積んだほうがよいでしょう。
PC画面の問題を解く際、視野を広く使えなかったり、その後の問題を確認できないのは仕方がありませんが、PC上で英文を読むことに対する苦手意識は、実際にPC画面で英文を繰り返し読むことによって減らしていくことができます。
実際に「PC画面で英文を読むのが苦手」 という方の多くが、PCで日本語を読むのを苦にしていないはずです。
環境は視覚以外でも異なります。
本試験では、周りのマイク調整の発声や、ヘッドフォンから漏れるListening問題音声が気になり、集中の維持が難しいと感じる方は多いでしょう。
対処方法としては、Readingのパッセージを声を出さずに音読するなど、問題に集中できる状況を自ら作り出しましょう。
あと、家でも問題を解く際に、制限時間を測っていない、または制限時間を厳密に守っていないということもあるかもしれません。
30秒の差が+1の正解、その結果+1のスコアを生むのがTOEFLです。
本試験と同じ環境に近づけるため、時間を正確に測って問題を解く経験を積むことは大切です。
理由2.問題集の問題でも実はかなり間違っている
Listening問題1題につき、間違うのは1問くらいという場合、本試験において採点されるListening問題は全部で6題なので、全体で6問間違いになります。
Listeningはだいたい1問間違う度に1点引かれる感じなので、6問間違いなら24点くらい。
(本試験で100点以上を狙う場合、Listeningは27点くらいが欲しいところ。そのためには3問くらいしか間違うことができません。6題で3問の間違いということは、6題中3題は全問正解しなくてはなりません。高得点を獲得するためには、高い正解率が求められるのがTOEFL iBTです)
もしListening問題1題につき1-2問の間違いなら、本試験で20点を切るスコアになっても何もおかしくはありません。
理由3.市販の問題集は、本試験と比べて多少問題が易しい
市販の問題集(ETSが作成した問題使うもの以外)のListening問題において、1題につき1問間違うという場合、本試験の問題なら1題につき2問くらい間違っても当然と言えます。
Listeningセクションにおいて1題につき2問なら、全体で12問間違い。スコアは18くらいになります。
理由4.本試験の問題の難易度は毎回異なる
本試験において、たまたま自分にとって難しい問題1題に出会い、その1題で多くを間違った場合、スコアが激減することも。
1回の試験の結果だけで、実力を判断するのは難しい部分があります。
例えば、トップのスポーツ選手でも毎回よい結果が出せるわけではないですよね。
たまたま運悪くスコアが下がることも十分あり得ます。
自分の実力は複数回の受験の結果で判断した方がいいでしょう。
では、以上のポイントを踏まえて、TOEFL対策をどのように進めたら良いかを考えましょう。
「市販の問題集は本試験と比べて多少問題が易しい」と書きましたが、「易しい」のが悪いわけではありません。
何かの資格試験対策を始める場合は、いきなり本試験レベルの問題の演習から取り組むわけではないですよね。
ポイントが簡略化された問題を何問も解くことによって、その単元の理解を深める作業が通常行われます。
TOEFLにおいても、ポイントを絞った、または難易度が少し易しい問題から始めることによって、効果的に実力を向上させられる人は多いと判断します。
「問題集での正解率と本試験の正解率は異なる」と最初から認識していれば、何の問題にもなりません。
本試験では間違うことが多くても、本試験の問題よりも少し易しいものへの取り組みを通して実力を上げていけば、本試験での正解率を高めることができます。
問題集の取り組みの際は「1問しか間違わなかった」ではなく、「なぜ1問間違ってしまったのか」にこだわりましょう。
その間違った1問を最初から正解できるくらいの実力が身に付けば、本試験においても不正解の数が減っていきます。
また、正解不正解の数だけを気にするのではなく、正解できた問題において、どのくらい正解の自信があったかを意識しましょう。
例えば、1題につき6問のListeningレクチャー問題において、1問だけ不正解であったとしても、残りの5問中3問で、自信を持って正解の選択肢を選べなかったような場合、不正解が1問だけであったのは単にラッキーだったのかもしれません。
単に正解できたかどうかで判断するのではなく、自信を持って正解を選べているかを常に気にするようにしましょう。
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