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【再掲載】「現在TOEIC 500くらい。TOEFL 100以上を獲得し、2年後のMBA留学を目指す。」に対して受講生の方からご意見をいただきました(3)

※ 以下、数年前の記事の再掲載です。長いので時間があるときにコーヒーでも飲みながら読んで下さい。
「TOEIC or TOEFL」どちらからのスタートがいいかという内容ですが、TOEICで高スコアを取る必要のない人は、TOEICを英検に置き換えてください。TOEICと英検なら、アカデミックな内容である英検の方をTOEFLへの準備としてお勧めします。

 
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前々回、前回の投稿では

 

» 現在TOEIC 500くらい。TOEFL 100以上を獲得し、2年後のMBA留学を目指す。


での私のお勧め

 

「TOEIC対策から始め、TOEICで800点以上が取れるようになってからTOEFL対策に移る」


に対して、Listening Deltaコース受講生のHさんからいただいた

 

「最終的にTOEFLを目指すのであれば、TOEFL用の勉強から始めたほうがよい」


というご意見のメールおよびHさんの過去の取り組みとスコアを紹介させていただきました。

 

今回は予告通り、Hさんのご意見、ケースに対する私の考えを述べさせていただきます。

 

Hさんのご意見に対する私の考えを書く前に、まず皆さんにお伝えしたいのですが、「Hさんの考えは間違っている」と言うつもりはまったくありません。


Hさんは「何度受験をやめようと思ったか、何度涙を流したか分からないほどに精神的に追い詰められながら」も、取り組みを継続し、最終的にMBAプログラムへの留学を勝ち取られました。
Hさんの、あきらめずに取り組み続けた執念、具体的な対策は皆さんにとって非常に役立つものであると考え、Hさんにお願いをし掲載させていただきました。

 

しかし、Hさんの意見を掲載するだけでは、TOEIC 500くらいからTOEFL対策をスタートしようと考えている方々への私からのアドバイスが分かりにくくなるため、ここで、Hさんのご意見を受けての私の考えをお伝えします。

 

改めて、私の投稿、そしてHさんからのご意見とご報告を見直し、私とHさんの結論の違いをもたらすポイントは2つあると判断しました。

 

1.リスクに対する考え
2.TOEIC対策とTOEFL対策の違いに対する考え


この2つに関して、Hさんと私の考えの違いを述べていきます。

 

1.リスクについて

 

もともと私は、TOEIC 500くらいの方がTOEFLからスタートしては「ダメ」と考えている訳ではありません。

 

» 現在TOEIC 500くらい。TOEFL 100以上を獲得し、2年後のMBA留学を目指す。


で紹介した過去の投稿

 

» TOEIC 600未満からのTOEFL対策


では

 

「留学にチャレンジできる期間が限られているため、できるだけ早く目標スコアを獲得したい」
「長期間に及んでもTOEFL対策に集中して取り組める自信がある」
「100が取れなくても80点台や90点台でも留学実現の可能性がある」


という方は、スタートからTOEFL対策を行う。


その場合、問題の単語や文法などが分かりやすく説明されている教材、丁寧な解説やサポートがあるコースを選びましょう。


とお伝えしてます。

 

なのにTOEICから始めることをお勧めするのは、TOEIC 500くらい(TOEFL 30-40くらい)の実力からスタートしてTOEFL 100以上を目指しながら、TOEFL対策が長期化してしまった方々を多く見てきているからです。

 

長期化する理由として、先日の投稿では以下を挙げました。

 

TOEFL 30-40点台の方が100以上獲得を目指して最初からTOEFL対策を始めた場合、TOEFLの難易度により実力の成長が感じにくかったり、または同じことを長期間に渡って取り組み続けることに飽き、モチベーションが下がる恐れがあります。


統計的データはないのですが、私の感覚ではTOEFL 30-40くらいからTOEFL対策をスタートして、1-1.5年くらいで100以上に到達する方は10-20%くらい。
多くの方は長期間の伸び悩みに苦しむか、途中で挫折し、TOEFL対策をやめるか、中断することになります。


あくまで個人的な感覚による数字ではありますが成功する確率が低いと考えているので、TOEFLからスタートのチャレンジはお勧めしませんでした。
当然のことながら、10-20%くらいの人が、実際に目標を達成されることも重々承知しています。

 

今回の場合、成功の確率を高めるために、どうしたらよいかと考えた結論が「TOEICから始める」というものでした。

 

もちろん、Hさんは「TOEICから始めるのが良くない」というご意見ですので、お勧めする手段は異なるのですが、「TOEIC 500くらい。英語からずっと離れていた。目標はTOEFL100 以上」という方にTOEFL対策から始めることをあまり勧めないのは、長期化したり、挫折してしまう方を多く見てきているのが理由になります。

 

2.TOEIC対策とTOEFL対策の違いについて


もともと厳しいチャレンジではあるので、ある程度の長期化を前提として、挫折するリスクを減らす手段としてTOEICからのスタートをお勧めしています。

 

もちろん、TOEICとTOEFLでは問題形式、使われる単語、難易度等大きく異なることも分かっています。
長期間の取り組みが予測される対策においては、取り組みの継続がスコアアップのカギとなります。
TOEICから始める利点として

 

a.TOEFLと比べ難易度が低く、英語から長く離れていた方にも学びやすい
b.取り組んだ分だけスコアが伸びやすく、スコアアップが次の取り組みへのモチベーションにつながる
c.英検と比べると試験の回数が多く、自分の実力を確認しやすい


の3つが挙げられます。

 

a.TOEFLと比べ難易度が低く、英語から長く離れていた方にも学びやすい


ですが、TOEIC 500-600くらいの英語力だと、TOEFLの問題の難易度が高く、問題を消化吸収するのに非常に時間がかかったり、十分に理解できず(または理解できていないことに気づかず)消化不良になり、実力が効果的に向上しない恐れがあります。
(ウェブトフルのコースでは、消化不良を防ぐために、丁寧な解説、全問題に対する単語リスト、質問メール制度、質問メールへの回答をQ&Aとしてアップ等を提供しています。それでも問題自体の難易度が大きく異なるので、TOEFLへの取り組みの方が消化吸収がしにくいと考えます。)

 

しかし、TOEICは問題の難易度が下がるため、解説を読んだり、聞いたりした後、問題の内容が理解できないということはほとんどないはずです。

 

b.取り組んだ分だけスコアが伸びやすく、スコアアップが次の取り組みへのモチベーションにつながる


難易度が低い分、学びやすいというだけではなく、問題集の問題と似た問題が本試験で出題されることも多いので、高スコアを獲得しやすく、スコアがアップすれば、次の取り組みへのやる気が向上します。

 

c.英検と比べると試験の回数が多く、自分の実力を確認しやすい


先日の投稿では「TOEICではなく、英検を代用することもできます」と書きました。
ビジネス英語に特化したTOEICよりも英検の方がTOEFLの内容に近いと言えますが、英検は1年に3回くらいしか受験の機会がなく、また2次試験の面接は1か月後になるため、コンスタントな実力アップの確認には不向きと言えます。
しかし、例えば、現在高校生や大学生の方が、2、3年後のTOEFLへのチャレンジの準備として取り組むのであれば、TOEICよりも英検をお勧めします。

 

上記に加え、仕事や家庭の状況で留学自体を目指さなくなったとしても、TOEIC対策によって伸ばしたスコアは今後、仕事をする上で、自分の英語力を証明するものとして有用であることも理由として挙げられます。

 

Hさんは

 

私が考える自身の成功要因の一つは(私は最初はAGOSに通学していたのですが)そこで徹底的に『テストテクニックではない本当の英語力をつけるための学習法』を学ぶことができたからだと思っています。TOEIC500と言えばMBA受験生のレベルを基準に考え、かつ誤解を恐れずに言うのであれば英語力は0に等しいです。そしてTOEFLは大学受験やTOEIC対策の延長線でどうこうできるテストではないですから、受験者はまず『(TOEFLを視野に入れるのであれば)どのように勉強するのか?』といった点から理解していく必要があるのではないかと思っております。

 

加えて、TOEICの対策本を書店で見ると消費者の目をひくキャッチコピー合戦になっていたり、中身は『TOEICで高得点をとるために必要なTOEIC用のテクニック』を中心に解説しているものが多く、それがTOEFLレベルの問題を解くための下地作りになるのかと問われれば正直そうではないのかと思ってしまいます。


 

 

TOEIC対策本はテクニックをウリにしているものが多い
「TOEFLレベルの問題を解くための下地作り」にはならない

 

と考えていらっしゃいます。

 

これらの点に関してですが、私はテクニックをウリとするTOEIC本で対策をすること自体は悪いこととは思っていません。
テクニックをウリとしている本でも、英語力のアップとは関係のない「試験テクニック」はその本全体の中で一部のはずです。
また仮に、ある1冊のTOEIC対策本の内容のほとんどがテクニックに関してだったとしても、そんな本はあっという間に終えてしまうことになり、2冊目以降に取り組むものとして同じような本を選ぶことはないでしょう。

 

確かに先生によっては、テクニックに偏りすぎていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、TOEFLにおいてもテクニックを駆使しすぎて、問題で求められることとは異なる回答をすることを勧めている先生のお話を聞いたりすることもあるので、単純にどちらの講師の方が英語力そのものをアップさせることにより関心を持っているとは言い切れないと思われます。
(ただ、TOEFLの方が全体的には、テクニック云々で対応できる試験ではないことは確かですが)

 

TOEIC試験テクニックのようなもので50点くらいアップさせることはできるかもしれませんが、TOEICにおいて300-400ものスコアをアップさせるためには、単語力、文法力、聞き取り力、英文処理速度といった基盤としての英語力を大幅に上げなければなりません。

 

つまり、TOEICにて500 → 800以上のスコアになれば、基盤としての英語力はかなり向上したと言えます。

 

しかしながら、そこで高めた基盤としての英語力はTOEFLで高得点を取るために十分ではありません。

 

私の感覚では

 

TOEIC 800点台前半の人が、TOEFL対策をあまりしないでTOEFLを受けると60点台
同様に、TOEIC 800点台後半の人なら、70点台
(TOEIC 900点台前半の人なら80点台)


くらいでしかありません。

 

それでも、TOEFLで60-70点台が取れるくらいの基盤としての英語力が身についていれば、その後始めるTOEFL対策において、TOEFL問題の難しさに圧倒されたり、基本的な聞き取りや文法、単語でつまづくことが少なくなります。

 

私は「その人のレベルにあったものに取り組むことがより効果的に英語力を伸ばせる」と考えています。

 

将来的には、TOEFL Juniorから始めてTOEFLに移るというルートが現実的になるかもしれませんが、現時点では、TOEIC 500くらいの方が基盤としての英語力を高めるには、TOEICへの取り組みが一番と判断しています。

 

以上、Hさんと私の考えを異なるものにする理由2点を挙げました。
追加としてこれまで書いていなかった、私がTOEICからの対策を勧めるもう一つの理由である

 

スコアの上がり方


について書きます。

 

Hさんはアゴス・ジャパンに2012年の3月まで通われました。
4月末〜5月のスコアは80点台。
その後、スコアは上下しつつも、少しずつ向上していきます。
そして11月に101を超えるスコアを獲得します。

 

予備校に通われていた頃は急激に伸びたスコアは、その後、独学の時期になるとゆるやかに上がっていきました。
これは、Hさんがご報告いただいているように、4月以降GMAT対策との併行になったため、

 

TOEFL対策の時間が大幅に減った
ことが大きな理由として挙げられます。その他には

 

スコアが上がっていくと、更なるスコアアップが難しくなる
という点も考慮に入れなければなりません。

 

60 → 70 の10点アップと90 → 100の10点アップでは達成の容易度がまったく異なります。
同じペースで学習を続けても、だんだんスコアアップがしにくくなっていきます。

 

そして、もう一つの理由として挙げたいのが、

 

予備校で習ったTOEFL対策の効果


です。

 

Hさんは予備校の授業を通して基盤としての英語力をかなり高められただけではなく、予備校で学んだTOEFLに特化した解法・回答方法が数ヶ月での大幅なスコアアップに貢献したと推測します。

 

Hさんのもともとの実力を40点台とすると、4月末〜5月あたりまでで40点くらい伸ばしていることになります。
この比較的短期間での大幅なスコアアップの達成には、TOEFL試験への解法・回答方法を学んだことががかなり寄与しているはずです。

 

実際にTOEFL対策を始め、多くの問題への取り組みを通して基盤としての英語力を伸ばしながら、有効な解法・回答方法を学ぶことによって飛躍的にスコアがアップすることがよくあります。
しかし、解法・回答方法を学んだあと、独学の期間に入ると、スコアが伸び悩んでしまうのもよくあるパターンと言えます。

 

低いスコアからTOEFL対策を始めた場合、例えば、40-50点台からスタートした場合、TOEFL問題への攻略法を学びながらも、学習法を通して基盤としての英語力を高めることによる70-80点台の獲得は、比較的短期間で到達しやすい目標です。

 

しかし、一通りTOEFL攻略法を学んだ後、更なるスコアアップの達成には基盤としての英語力の強化に委ねられる部分が多くなります。
この時期が長くなれば長くなるほど、スコアの伸び悩みに陥り、TOEFL対策から挫折しやすくなります。

 

よって、TOEIC 500くらいからのスタートでTOEFL 100を目指すような場合、TOEFL対策を始める「前に」TOEFLを受けたら60-70点台を獲得するくらいの実力を高めておくことができると、TOEFL対策を開始し、解法・回答方法を学びながら、基盤としての英語力をさらに高めることによって、80-90点台の獲得が狙いやすくなります。
そのくらいの点が取れるようになれば、100まであと少しのところに到達するため、モチベーションも維持しやすく、それまでの勢いを保って目標スコアに到達することが可能となります。

 

ということで、ここまで書いたのは「TOEIC 500くらい(TOEFLだと30-40点台)。英語からずっと離れていた。目標はTOEFL100 以上」という方がTOEFL 100以上獲得の確率を高められると私が考える取り組み方。

 

しかし中には、同じくらいのスタートだが、会社派遣の選考に選ばれるために、まずは80点以上を早めに獲得しなければならないという人もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、TOEFL対策から始め、80以上を獲得後、Hさんのように多くの問題集を根性で取り組み続けていくことが必要になります。

 

Hさんからいただいたご意見は非常に貴重であり、Hさん方式で目標スコアを目指すという方も出てくるでしょう。

 

このブログでは私やSpeakingコース担当の五十峰先生が勧めるTOEFL対策方法を紹介していますが、それ以外の対策方法を必ずしも否定するものではありません。

 

これまで目標スコアを達成した受講生の方々からいただいた取り組みのご報告においても、私が個人的にはあまりお勧めしない学習法を実践され、成果を出されたことは尊重し、そのまま掲載させていただいています。
(例えば、単語と意味が羅列されているだけの単語本の取り組みなど)

 

このブログで提供している情報が、TOEFLでの目標スコア獲得に役立ち、留学や進学を叶える手助けになれば嬉しく思います。

 

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