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【改訂版】TOEFL単語本で単語を覚えるとき、訳語から英単語が言えるようにした方がいい?

以下、過去記事を改訂したものです。

 

受講生の方からのご相談の中で、TOEFL単語本の取り組み方として

 

「日本語訳を見て、英語に変換しつづりを書いている」
「単語の音声を聞き、意味を書いている」

 

という作業を行っているというご報告を受けました。
(いただいた文面を私の方で言い換えています。今後、この方をAさんとします。)

 

日本語訳 → 英単語」という方法で単語力増強に取り組んでいる方もいらっしゃるかと思い、ブログ記事として私の考えをまとめることにします。

 

Aさんは

1)日本語訳を見て、英語に変換しつづりを書いている
2)単語の音声を聞き、日本語で意味を書いている

という2つの作業を進めていますが、それぞれについて書きます。

 

 

1)日本語訳を見て、英語に変換し、つづりを書いている

 

単語本への取り組みよる単語学習においては

英単語を見て/聞いて、意味がわかればOK(「英語 → 意味」という流れ)

としている方が多いかと思います。詳しくは後で書きますが、「TOEFLの単語本を通しての単語力増強においては」私はそのやり方で十分であると考えます。

 

しかしAさんのように「英語 → 意味」にとどまらず、「意味(日本語)→ 英語」という逆方向の変換にまで取り組んでいる方もいらっしゃるかも。

 

「英語 → 意味」の流れはインプット(Reading、Listening)の理解において行われます。
TOEFLの単語本では、基本的にTOEFLのReading、Listeningで出題される可能性の高い単語が選定されています(Speaking、WritingセクションのIntegrated TaskでのReading、Listening部分を含む)。

 

そこにおいて理解が求められるアカデミックな単語のリストには

 

edifice「(宮殿・寺院などの)建物、大建造物」
obsidian「黒曜石」
irrigation「灌漑(かんがい)、水を引くこと」
coerce「(人に)強制して[無理に]~させる、~を強要する」

TOEFL iBT Reading Practice Questions、Reading問題 “The Rise of Teotihuacán”から選出)

 

のような日常生活の言葉のやり取りではあまり使われないものも含まれます。

 

これらの単語においては「大建造物 → edifice」「黒曜石 → obsidian」「灌漑 → irrigation」という「日本語訳 → 英語」の変換ができなくても、英単語を読んで/聞いて意味が分かればOKです。もし意味が正確に分からなくても「edificeは建物って感じだった」「obsidianは何かの石の名前」ということさえ知っていれば、パッセージの大まかな内容理解には問題ありません。

 

ここで考えたいポイントは

 

<インプット(Reading、Listening)理解において必要な単語群>と<アウトプット(Speaking、Writing)で使えるようになった方がよい単語群>は異なる

 

ということ。皆さんにも、英語に限らず日本語においても、読んだり、聞いたりする際に理解が問題ない表現でも自分が話したり、書いたりするときには使わないものってありますよね。「甚だ(はなはだ)」「随所に(ずいしょに」」「所望(しょもう)する」「知悉(ちしつ」する」のような。TOEFLの単語本は、アカデミックな問題内容理解のために知っておくべき難しめの単語が選ばれていることも多いので、そこでの単語は必ずしもアウトプットで使えなくてもいいのです。

 

例えば、perplexedという単語は perplexという動詞で、またedがついた形容詞として、多くのTOEFL単語本に掲載されています。アルクの英辞郎でのperplexedの意味は「当惑した、まごついた」。このperplexed、TOEFLに出題される可能性が高いと判断されている単語であり、過去問を使用した公式模試の中の、現在は販売していないセットのReadingの単語問題で実際に問われていました。

 

ということでTOEFL ReadingやListeningでは重要性の高い単語と言えますが、Speaking、Writingにおいてこのperplexedを回答で話したり、エッセイを書く際に使ったほうがよい、とまでは言い切れません。

 

なぜか。

 

perplexを「当惑した」という「1つの訳語」で意味を覚えている場合、時間が経つと「当惑した」で思い出すのは、confused、puzzled、embarrasedなどの別の単語かもしれません。でもperplexedが浮かばなくても、これら別の単語が使えればそれでいいのです。Speakingにおいてはperplexedを思い出そうとして少し間があくくらいなら、使うのに慣れた同じような意味の表現を用いたほうがいいでしょう。
Writingでは「perplexedだったかな?purplexedだったかな?」とつづりに自信が持てない場合は、別の表現を選択しましょう。

 

また使うのに慣れていない表現を用いると、文脈上、不自然になることもありえます。「(恥ずかしくて、きまりが悪くて)当惑した」ということなら、perplexedではなくもembarrasedの方を使うべき。日本語の意味にとらわれすぎると、不自然な英語表現になってしまう恐れもあります。

 

TOEFLの単語集の多くに掲載されている単語は、TOEFLでの「インプット理解」を高めるために覚えておいたほうがいいものであり、それらの単語をアウトプットで活かすことを意図したものではありません。

 

よってそこでの単語を読んだり、聞いたりして意味が分かれば十分と考えましょう。もちろんそこに掲載されている難しい単語を正しいつづりで書けたり、文脈上問題なく使えるようになることは素晴らしいことですが、TOEFLでの高得点獲得にはそこまでする必要はないので時間効率のよくない学習になる恐れがあります。

 

 

2)単語の音声を聞き、日本語で意味を書いている

 

私は単語の意味を覚える際に「1つの訳語」にこだわらないほうがよいと考えます。そこにとらわれすぎると

 

「文脈上、『当惑した』って意味だからperplexedって書いたのに、添削ではembarrasedって直された。何でだろう?」

 

ということになってしまいます。

 

だから「1つの日本語訳」のみを正解とし、それを強化するような学習方法はお勧めはしません。英単語と日本語訳が一義的に対応するケースはかなり少ないですし。

 

「単語とその意味が羅列されている単語本」に付属する音声は、掲載されている単語の発音を確認するために使う程度で十分です。もし単語のリストが読み上げられた音声を流すなら、聞いたときにその単語の意味が浮かべばOKとしましょう。特に訳語を書き出す必要はないと考えます。

 

また訳語は、単語本に掲載されたものと同じである必要はありません。coerceなら「『無理に、力づくでやらせる』って感じ」とか「forceとかcompelと同じような意味」と理解できていれば十分です訳語がでてこなくても、英語の他の表現で言い換えられば意味は分かっているということなので、それでよしとしましょう。

 

と、ここまで、TOEFLの単語本に取り組む場合

 

「英語 → 意味」が分かるようになればそれでOK、特に「日本語訳 → 英語」にまで取り組む必要はない
「英語 → 単語本に掲載されている日本語訳」にこだわる必要はなく「英語 → 意味」と「意味」部分は漠然とした形でもよい

 

とお伝えしてきました。

 

ではその分楽していいということではなく、単語の意味を覚える作業に加え実際にTOEFLレベルの英語の文章を理解しながら、読んだり、聞いたりする時間を多くとるようにすることをお勧めします。
単語学習は「読んで/聞いて理解できる」ようになるために行っているわけで、「読める/聞ける」には実際に「読む/聞く」時間の確保が何よりも大切です。
パッセージつきの単語本であれば、単語の意味を覚えたことによって、パッセージが「読んで理解できる」「聞いて理解できる」ようになったらそのパッセージは卒業とし、次のパッセージに移る。その作業を繰り返していきましょう。

 

以上、TOEFLの単語本を使っての単語学習の仕方について書きました。ただここでは「アカデミックで難しめの単語」を掲載したTOEFL単語本への一般的な取り組み方ということであって、掲載される単語の難易度が変わったり、学習者にとってはそこでの単語は特に難しくはないということなら、または現在のスコアと目標スコア次第ではお勧めする学習法が異なることもあり得ます。私の考えをご自身の取り組み方決定の参考にしていただければ幸いです。

 

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