TOEFL Writing:スコアの見直し(リスコア)で14点が19点へと5アップの報告をいただきましたが …
ウェブトフルの受講生の方からWritingセクションをリスコアしたら、5点アップしたという報告をいただきました。
「スコアの見直し(リスコア)って何?」という方は、まず以下をご確認ください。
Writing 5点アップの詳細は
14点 Integated:Fair(2.5-3.5)、Independent:Limited(1.0-2.0)
↓
19点 Integated:Fair(2.5-3.5)、Independent:Fair(2.5-3.5)
このブログを長らく読んでいる方なら、
Writingセクションはスコアの見直し(リスコア)でスコアが変わるのは珍しい
とご存知でしょう。
それが今回は5点ものアップとなりました。
実はこの5点ものアップ、おめでたい話ではありません。
リスコアを申請した方は、当時で100を取っていて、現在はベストを更新し102。
その方にとってWriting 14点をリスコアする必要ありませんでした。
ですが、私からの「Writingをリスコアされるならこちらで費用を負担します」という申し出を受けて、見直しの申請をしてくださいました。
結果としてスコアが変わり、リスコアの費用はETSから返金されることになったので、費用負担はなくなりましたが。
(Speaking、Writingのスコアの見直しは、1セクションあたり80米ドルもかかりますが、スコアが変わればその費用は返金されます)
そして、非常に興味深い結果を得ることができました。
リスコアの結果の話の前に、ベストが100点(当時)で、WritingではGoodを取ることが多かった方が、なぜIndependent WritingでLimitedという結果になったのかについて書きます。
学習相談のやり取りで、この方は
Writingの回答で、自分が暗記している内容を書くことが多い
ことが分かりました。
そのようなやり方は、ミスのない表現が書ける一方、書いた内容が問題トピックや話の展開からズレる恐れがあります。
Writing 14を取った回では、採点官から「単に暗記した内容を書いただけ」とみなされ、Limitedの評価(おそらく評価点1)がついたと推測します。
このようなことは別の方にも起こったことがあります。
» TOEFL Writing:Independent W で450語書いたけど評価はLimited(1.0-2.0)で13点だった!
» TOEFL Writing:Independentタスクで300語くらい書いたけど評価点1ってどういうこと?
» リスコア(スコアの見直し)しようか迷っている その4 – Independent WがLimitedだった。これまではGoodだったのに!
上のリンクは皆ここ数ヶ月でのことであり、このようなお話は以前にはあまりなかったように思いますので、数ヶ月前くらいから、暗記したものを書くことに対してより厳しくなっているのかもしれません。
実際に本試験でも「暗記した例示を使うな」という内容が問題の中で表示されるようになりましたね。
ちなみに以下、Independent Writingで暗記したものを書く戦略に対する私の意見です。
» Independent Writingにおいて丸暗記したエッセイをこじつけて書くのは有効か
話を「リスコアでWriting 14 → 19」に戻します。
Writingセクション 14点は、数年前での換算では評価点の平均が2.0のときのスコアでした。
» TOEFL iBT Writingセクションはどのようにしてスコアが算出される?
仮にFair(2.5-3.5)であったIntegratedの評価点が「3と3」だった場合、Independentは「1と1」または「1と2」であったと思われます。
つまり、上のリンク先の記事のようにLimitedと評価されたIndependent Writingのエッセイは、丸暗記したものを単に写しただけと再転換に判断されたのでしょう。
ところがリスコアの結果が19点なら評価点平均は3.0か2.75に変わったと推測されるので、Independent Writingの評価点は「3と3」または「3と2」になったはず。
ここまでの
「リスコアによって『1と1』という評価点が『3と3』になったかもしれない」
という読みに対して違和感を持った方は、TOEFLマニアの称号をあげましょう。
そうです。
Writingセクションは、Integrated、Independentそれぞれのエッセイに対して、eRaterという自動採点プログラムと人間が評価点をつけます。
そしてリスコアの際、eRaterの方の評価点は変わらないはずなのです。
これはETSのTOEFL Writing責任者からの話になります。
» WritingのScore Review(スコアの見直し)でもeRaterが使われていると分かりました その1
仮に評価点「1と1」が「3と3」に変わったとしましょう。
その場合、「eRaterがもともとつけたスコアは3であった」と推測します。
eRaterは内容を評価することはできなく、eRaterが「問題トピックや理由からズレた内容を書いているから丸暗記したことを写しているかもしれない」と判断することはありません。
eRaterがつけたスコアは3。
しかし人間の採点官が丸暗記に対するペナルティとして評価点1をつけたとします。
もしかしたら現在は変わっているかもしれませんが、このように2者の評価点の差が2以上になった場合は、第3の採点官(人間)が登場することになっています。
そして、この第3者が評価点1をつけたため、eRaterのスコアは無視され、評価点1.0平均になってLmited(1.0-2.0)がついたのではと。
しかし、リスコアではeRaterはまた評価点3をつけます。
ところが今回は人間の採点官による評価が3になったため、評価点平均は3.0になり、リスコアの結果はFair(2.5-3.5)になった …
以上が私の読みになります。
もちろん、Independent:2(eRater)と1(人間)→ 2(eRater)と3(人間)とeRaterがつけたスコアは変わらなかった可能性もあると考えます。
ただ、WritingでGoodをよく取る方が、覚えた回答を使って書いたエッセイに対してeRaterが2をつけるのはちょっとありえないと考えますが。
リスコアの結果を受けていろいろと書いてみましたが、上記はあくまで推測の域を出ません。
ETSがWritingセクションのスコア算出方式を明らかにしていない以上、憶測で判断するしかありません。
しかし、14点(Fair、Limited)がリスコアによって19点(Fair、Fair)に変わったということは事実であり、そこから、
丸暗記した理由や事例をエッセイに書いた場合、採点官に見抜かれる場合と見抜かれない場合がある
という至極当然のことが結論付けられると私は考えます。
このような戦略を取る人が「よいスコアが取れたから今後も大丈夫だろう」と判断するにはリスクがあります。
もちろん、丸暗記したものをうまく言い換えて、覚えたものを書いたように見せないことができれば問題はないでしょう。
しかし、試験を行っているETSから「やるな!」と言われている方法を用いるなら、中には大幅に減点される人が出てくることも、まあ、あるわけですね。
このような戦略に対する私の意見、ぜひ一読ください。
» Independent Writingにおいて丸暗記したエッセイをこじつけて書くのは有効か
コメント
葛山先生
突然のご連絡失礼いたします。リスコアについて質問させていただきたくご連絡させていただきました。
TOEFLのスコア関連サービスのページ(https://www.ets.org/jp/toefl/ibt/scores/scoring)によると
スコアレビューをリクエストするには、ETSアカウント(英語のコンテンツ)にログインするか、TOEFL iBT スコアレビューリクエストフォーム (PDF)に記入してください。
とあるのですが、これはリスコアがmy page 上から行えるということなのでしょうか。
お手数おかけしますが、ご回答いただけますと幸いです。
こうさん
おっしゃるとおり、そのように変わっていますね。
受験後30日以内のスコアがあればそこからScore Reviewを選択できるのではないでしょうか。
Katsurayama