【改訂版】留学準備としての英語力アップ(Listening)
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の続きです。前回は「留学前にReading力をどう高めるか」に関して書きました。そこでは自分が専攻する分野の書籍を多量に読むことによって、英文処理能やその分野でよく使われる用語や理解の手助けとなる背景知識を向上できると伝えました。
今回は「留学前にListening力をどう高めるか」に関して。
留学するとSpeaking力以上にListening力が大切と気付かされます。なぜならそもそも相手が何をいっているか理解できないと会話にならないから。
Speakingの方は表現や文法がおかしくてもこちらの言いたいことはだいたい理解してもらえます。Speakingはゆっくりでもなんとかなるのに対して、Listeningは相手のスピードに合わせなければなりません。授業中、教授や他の学生が話すスピードをゆっくりにしてもらうことはできません。
TOEFLのListeningが難しいと思っているアナタ!留学したらもっと大変ですよ。
では、留学に備えてどのようにListening力を上げるべきか。
YouTubeやTED Talkなどで、自分の専攻と関連した動画を長時間聞くことも非常に有効です。自分の専攻名をキーワードに検索するだけで、世界的に有名な教授のレクチャーを聞くことができます。とても便利な世の中です。
私が特にお勧めするのは、CNN English Expressを教材にして学習すること。CNN English Expressとは、CNNの放送内容を基に作られた英語学習用の月刊誌。
お勧めする5つの理由
理由1:様々な英語に触れることができる。
留学して聞く英語は、TOEFLで聞いたような比較的カツゼツ良く話してくれるものばかりではありません。例えばアメリカの大学に入学した場合、そこには様々な人種、国籍の先生、職員、学生がいます。CNNでは様々な地域の人のレポートが行われるので、多様な英語に触れるよい機会になります。
理由2:話者のスピードが速い。
教授からのレクチャーは比較的ゆっくりでも、学生を交えての討論や学生同士の会話はTOEFLのスピードを超えます。速いスピードに慣れるには速いスピードで話される教材が必要です。
理由3:話のスクリプトがある。また単語や文法の解説がある。
CNN English Expressはお勧めするものの、CNNのような英語ニュースの視聴はニュースを聞いてほとんど理解できる人以外にはお勧めしません。聞いて理解できない部分が多いと実力の向上にあまり寄与しないからです。
例えば、これまで全く学んだことがない言語のテレビ放送を1週間、起きている間はずっと見続けたとします。その言語が、韓国語であれ、中国語であれ、スペイン語であれ、アラビア語であれ、毎日16時間、1週間(16時間×7日= 112時間!)見た所でどこくらいその言語に対する能力が向上していると想像しますか。おそらくほとんどゼロに近いでしょう。簡単な挨拶くらいは分かるようになるかもしれませんが、そんなもの家庭教師から1時間のレッスンを受ければ十分なレベルです。
理解できないインプットは雑音と同じ。
分からないままなら言語能力として何も向上しません。分からないところを確認し、分かるようにすることは極めて大切。私は常々授業の中でもこのブログでも
「理解できないものを理解できるようにする」「理解しながら、聞く・読む」
ことを繰り返しお伝えしているのもそのためです。CNNを見て聞き取れない、分からないものが多い場合、効率のよい学習になっていません。
CNN English Expressのスクリプトを見れば、聞き取れなかった表現、意味が分からなかった表現がすぐに確認できます。
また意味の説明があるので辞書を引く手間を省けますし、正確な意味を確認できます。文法的に難しい構造には解説があります。理解を手助けするすべてがそこにあります。
理由4:話の内容に対する背景的な説明がある。
話に対する背景知識を持っているかどうかは話の理解に大きく影響します。例えばアメリカで有名な人のインタビューを読む際、その人はどのような人なのか事前に分かっていないと、話がピンとこないはず。CNN English Expressではニュースの背景について簡単な説明があるので理解の助けになるだけではなく、自分で背景を確認する時間の節約が可能です。
理由5:アメリカや世界のニュースを知ることで、新しい友人との共通の話題が生まれる。
英語力が高くても、共通の話題がなければ会話が続きません。外国に行く場合、その国や世界中で取り上げられている話題を知ることは極めて大切です。
「CNNは自分にとって難しすぎる」場合
留学準備のListening力アップの手段としてCNN English Expressを活用した学習をお勧めしますが、中には「CNNで使われる表現は難しく、また話が速くて聞き取れない」という方もいらっしゃるかと思います。
そのような方の場合、大きめの書店に行けば英語学習をサポートする雑誌などが他にもありますので、ご自身にとって興味の持てるものを選びましょう。内容は自分が興味関心を持てるものが一番なので。
CNN English Expressにおいても最新号を買う必要はありません。Amazonで検索して面白そうなものを選びましょう。
CNN English Expressを活用した取り組みで私が予測する学習者の苦労は
「話されるスピードが速く聞き取れないところが多いから、何度も聞かなければならずなかなか進まない。」
というもの。では「音声を聞いても理解できないところが多い」場合、どうしたらよいか。
音声のトラックを1つ、1-2回聞いた後に、すぐにスクリプトを確認し、聞き取れなかった所にアンダーラインを引く。スクリプトの横に掲載されている表現とその意味も、もともと知らなかったものにはアンダーラインを引きましょう。
ここでのポイントは、全体的にほとんど聞き取れないような音声を何度も聞かないこと。上でお伝えしましたが、
理解できないインプットは雑音と同じ
なので、聞き取れないものを何回聞いても、実力の向上に寄与しません。
(1文やある表現を何回か聞くと聞き取れるなら行う価値がありますが)
大好きな洋楽を繰り返し聞いても、何を言っているかまったく分からない部分は英語力アップに寄与しない
ことは経験から分かりますよね。ではどうしたらよいかと言うと「分からないものを分かるようにすればいい」のです。だから、1-2回音声だけで聞いた後はスクリプトを読む。
または音声を聞く前に、スクリプトを読んでしまうこともオススメです。これなら通勤・通学中でもできますね。
ペン1本を片手にCNN English Expressをどんどん読んでいく。その際、意味を知らなかった表現には、アンダーラインを引き、チェックしておく。読んで分からないようなものは聞いても分かりません。表現を辞書で確認し、記憶を深めてもいいでしょう。
例えば、そうやって1冊すべて読んでしまう。聞き取り自体はまだ何もしていませんが、それでも表現力、背景知識は確実にアップします。
そして読み終わった後に聞く。事前に読まずに聞くよりも確実に理解度は増します。しかしそれでも「聞き取れない」「理解できない」ところがかなりあるはず。「聞き取れない」「理解できない」ところには、読んだときとは別の色でアンダーラインを引くかハイライトしましょう。
学習の目標は、アンダーラインを引いた箇所を聞き取って意味が分かるようにすること。そのためにはその箇所を繰り返し聞いたり、スクリプトを見ながらリピーティングしたり、音読したり、表現をまるまる覚えたりして「表現が聞き取れ、意味が理解できる」状態にしましょう。
ただCNNの場合、発音が明瞭でないこともよくあるため、何回聞いてもスクリプトのように発音していると思えないものは無視して下さい。単にカツゼツが悪くて聞き取れないものに貴重な時間を費やす必要はありません。
まとめます。
「音声を繰り返し聞いても、ほとんど理解できない」場合は、スクリプトを読んだり、単語・表現をチェックしたりして、聞き取りの際の理解度を向上させる手助けを行いましょう。「聞き取れない」「分からないところが多い」ままでは実力の向上にあまりつながりません。
CNNで使われる表現、話されるスピード、発音の明瞭性、求められる背景知識、どれをとっても非常に高度なListening力が求められます。見方を変えれば、CNNの英語が楽々聞き取れるようになったら留学生活において英語の聞き取りに困らないでしょう。
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