Listeningの方がSpeakingよりも低いスコアなのはなぜ? を考える
今回のブログ記事は一度でもTOEFL試験を受けたことがある方向けの内容。
Listeningで自分が予測したほどのスコアにならないという人とって参考になるかと思います。
1ヶ月ほど前の以下のツイートを受けて「TOEFLのListeningスコアがSpeakingよりも低い」という方から、ブログのコメント欄になぜそうなるかのご相談をいただきました(お名前をOさんとします)。
ListeningよりもSpeakingの方がスコアが高いという方、(トフレの受講生の中で)少数派ではありますがいらっしゃいます。そういう方は大雑把に聞き取れた内容に基づいて上手く話されているのでしょう。 https://t.co/KZpAZiSfSe
— TOEFL iBT対策情報(オンライン TOEFL対策 トフレ!TOFURE) (@webtoefl) December 13, 2020
60点台以下だとよくあるのですが、80以上のスコアを取る方ではSpeakingよりもListeningの方が低いということは少ないです。
トフレ受講生の方々からお知らせいただいた過去のスコア報告を確認してもそうであると言えます。
Oさんの場合、過去のスコアは以下の通り。
1回目(2020年8月)R25/L18/S21/W24 = 88
2回目(2020年10月)R25/L19/S22/W24 = 90
Speakingは高めのスコアではあるが、留学経験があったり、英会話を長らく行った訳ではないとのこと。
「私の英語学習歴としましては、中学生で初めてアルファベットを習い、今年で12年目になります。その間、海外留学は一度もせず、帰国子女でもありません。海外旅行もほとんど行きません。オンライン英会話に1ヶ月だけ課金したことがありますが、もう4年も前の話です。大学学部の後半から英語で論文を読むようになり、今は修士論文を英語で執筆中です。」
普段の英語の取り組みとこれまでのTOEFL対策に関して以下の回答をいただいており、英語力が非常に高い方であることはうかがえます。
(私からの質問)普段どのくらい英語を読む、聞く、書く、話すなどに時間を費やしているか。
これは日によってだいぶ違うので「時間を費やしている日」に関して申し上げますと、英語の論文を読むときには1日に20ページくらい(≒雑誌論文1報)、聞くのは1日に30分弱、BBCやNew York TimesのPodcastで、書くのは修論を書いていた時は1日に5-6ページ、話すのはTOEFL対策中は毎日公式の問題を使っていました。プライベートでも大学の先生とごくまれに話します。
問題なのはこれを毎日やっているのではなく、英語を読まない日はまったく読まなかったり、聞かなかったりするなど日のブレが大きいことだと自覚しております。。。
(私からの質問)TOEFL対策をいつ開始したのか。
1回目の受験をした2020年8月の2ヶ月前、つまり6月ごろです。2回目の受験が終わってからは触っていません。
(私からの質問)これまで行ってきたTOEFL対策
R: 公式問題集、TPOを解いて答え合わせ、誤答の原因に納得できることもあればできないこともある。
L: 公式問題集、TPO。あまりにも聞き取りができなかった場合はdictation。
S: 公式問題集、TPOで毎回時間を測って録音。
W: 公式問題集、TPOで時間と語数を測る。
以上のご報告内容を踏まえて、Oさんが「SよりLの方がスコアが低いのはなぜか」を考えてみたいと思います。
1回目(2020年8月)R25/L18/S21/W24 = 88
2回目(2020年10月)R25/L19/S22/W24 = 90
実はOさんの場合、「SpeakingがListeningと比べて高い」ということではなく、「Listeningが他のセクションと比べて低い」と言えます。
Speaking 21-22は、Reading 25、Writing 24の人としてはやや高めというくらいなので。
Writingでは、2回とも24点と評価点平均4(近く)のスコアが取れるくらいの表現力があると分かるので、Speakingにおいて21-22が取れても何の驚きもありません。
ではなぜ他のセクションと比べ、Listeningが低めなのか?
Listening 18-19は60-65%くらいの正解率。だいたい3問に1問、間違っている感じ。
それに対して、Reading 25はだいたい80%強の正解率。
ListeningとReadingの正解率の差は15-20%くらい。
OさんはListening内容を大まかには理解できていると判断します。
SpeakingとWritingのIntegratedタスクでそれぞれ評価点3平均(近く)、評価点4平均(近く)が取れるほどのListening力があるだけでなく、Oさん曰く
「私はSのIntegratedは内容を9割以上聞き取れたけど話せていない状態」
とのことなので、SWのIntegratedではだいたい90%くらいは理解できていると判断します。
(ただその9割理解の内容を説明すると、話の80%くらいになってしまい、このくらいの評価になる)
それだけのListening力があるだけではなく、Readingセクションの正解率は80%ほどでもあるので、Listeningセクションでは80%くらい理解できていいはず。
しかし実際には、Listening 18-19の正解率は60-65%ほど。
では80%くらい理解できるListening力のはずなのに、なぜ正解率は60%台と下がってしまうのか?
この疑問に対していくつかの理由が推測され、以下のように挙げられますが、お知らせいただいた内容だけではOさんがどれに当てはまるかは分かりません。
1.Listening問題の選択肢を見極める判断が良くない(この場合、スクリプトを読んでも不正解を選んでしまう)
2.Listening問題を聞いている際、問題に問われやすい重要なポイントが意識できていない
3.話を大まかに理解するのは得意だが、細かく正確に聞き取れていない(聞き逃したことに気づかず、スクリプトを確認すると記憶にないところが見つかる)
4.Listening問題のスピードについていけないところがある(SWのIntegratedと比べると会話問題など若干話すスピードが速い)
5.メモを多く取ろうとして聞き逃すことがよくある(ならば、メモ取りは控えめにしましょう)
6.Listening問題は長いので集中力が維持しにくい
7.周りの受験者が出す音によって集中力が削がれる
8.本試験ではReading問題で疲れてListeningのとき集中力が落ちてしまう
9.2回の受験ではたまたま何らかの要因によりスコアが低めだっただけで、次の受ければもう少し高いスコアになりそう
中国TPOの問題にも取り組まれているようですが、仮に普段の取り組みでTPO Listening問題の正解率が60%台なら、、間違った10問ほどの問題ひとつひとつに対してなぜ正解できなかったのか、上のリストに照らし合わせて分析することが何よりも大切です。
Listening問題を見直す際に
なぜ不正解の選択肢を選んでしまったのか
どの表現の意味理解ができなかったのか
聞き取れなかった表現はどれか
スピードに追いつかず理解が不十分になってしまったところはどこか
などを分析、確認した上で、その問題を通して
表現を覚える
聞き取れなかった表現の音声に慣れる
表現を素早く理解できるようにする
論理関係を押さえる
解法を身につける
作業を必ず行いましょう。
Listeningスコアアップにおける問題解法の重要性に関しては以下の記事でも書いていますが、
» 【再掲】「Listeningコース受講」と「教材独学」との違いについて。「Listening学習法」に関しても。+ 101点を獲得された受講生の方からListeningコースの感想をいただきました!
独学でも多くのTOEFL Listening問題に対して、音声を聞いたとき「表現が聞き取れ、意味が分かる」ようにする作業を適切に行っていけば、TOEFLにおけるListening力は向上し、結果、Listeningスコアは上がるはずです。
Oさんは
「今はTOEFLからIELTS対策にシフトしたのですが、TOEFLでSよりLが低い原因がわかればIELTS対策にもなんらかの形で生かせる部分があるかもしれない」
とのことなので、もうTOEFL問題を通して自分の弱点分析をする必要はないと考えますが、IELTSの問題への取り組みにおいて上記のポイントを意識されるとListeningにおいて改善すべき点が見つかりやすくなるかもしれません。
Oさんからのご相談の全文は以下のコメント欄から確認いただけます。
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