【改訂版】TOEFL Listening:Readingは高得点だがListeningは数点下、どうしたらいい?
以下、過去の記事内容を若干改訂したものです。
トフレの受講生(ここではBさんとします)から学習相談をいただきました。以下、いただいたご相談のおおまかな内容。
公式模試(TPO23、RLのみ)を受けたらR 28、L 21だった。以前に受けた本試験でのRLのスコアは同じくらい。ListeningがReadingほどのスコアになっていないが、今後の学習はどうしたらよいか。
Bさんにはすでにご本人の状況に基づいたアドバイスをしていますが、今回はBさんのように
Readingは28と高スコアでありながら、Listeningは21あたりと数点下がる状況。Listeningにどう取り組むべきか?
について書きたいと思います。
Bさんは本試験でもR 28が取れているので、Readingはだいたい28点くらいの実力と想定します。安定して28点くらいが取れるReading力(単語力、英文処理速度、文法力、論理力、背景知識、解答力)があるなら、おそらくListening問題の「スクリプトを読んで」解答したらほとんど正解できるはず。
Bさんの場合、TPO23のListening問題においてスクリプトを一度読んだ後、ほとんど正解が選べるとしたら、Listening問題で高得点を取れるだけの単語力、文法力、論理力、背景知識、解答力はすでに身についていると言えます。
なのでReadingで28くらいを安定して取れる人だと、Listeningスコアアップを狙って単語力養成に努めても大きな効果は期待できないかも。Listeningで高得点を取れるだけの単語力はすでに備わっているがその他の能力が劣っているため、ListeningはReadingほどのスコアになっていないと推測されます。
確かにReadingは28と90%ほどの正解率であり、単語力等を伸ばす余地はまだあるものの、Listening特有の弱点解消を優先せずに単語力向上などに多くの時間を使っているとListening力は伸びにくくなります。
ではListening特有の弱点とは何か。それは主に「音声認識力」と「英文処理速度」の2つ。
1.音声認識力(英語の音声を聞き取る力)
英語の自然な発話の音声を認識する力不足によりListening問題で聞き取れないところが2−3箇所あるなら、その問題で1−2問間違っても当然。
音声認識力を向上させるための取り組み方としては、以下をお勧めします。
最初にListening問題を聞いて解答した後、すぐに正解やスクリプトを確認せずに再度問題音声を聞き、自分が聞き取れなかったところを大まかに確認する。
その後、スクリプトを見ないで問題音声を途中で何度も止めながら聞き、自分が聞き取れなかったところをスクリプト上にアンダーラインなどでチェックする。
どこが聞き取れなかったかの確認作業を丁寧に行うことが大切です。自分がどのくらい聞き取れなかったかが分かるので。
聞き取れなかった箇所を含む文は、その文の音声を聞いた後、スクリプトを見ながらリピーティングを行い、聞き取れなかった音声に慣れましょう。
2.英文処理速度
ディクテーションなどで何度も聞けば音声は聞き取れる。しかしTOEFL Listening問題のスピードについていけず、話の途中で理解できなくなってしまうときがある、という話はよく聞きます。
Readingは理解しにくい箇所を読み直すことが可能ですが、Listeningでは聞き取れても表現や文の構造が把握できず瞬時に意味が理解できないことも。また単純にゆっくり話してくれれば分かる内容が、話のスピードが速いために理解が追いつかないこともありえます。日本語でも「話が速くて分かりにくかった」という経験をされたことはありますよね。「自分は英文を読むのが遅い」と感じる方は、表現や構文はReadingパッセージほど難しくはないListening問題でもスピードに追いつかないことあるでしょう。
英文処理速度を高めるために、人によっては易しい英語で書かれた本(Graded Readersなど)を多く読むことをお勧めすることもありますが、
R 28が安定して取れるくらいの高いReading力があるならそのようなことはせずにTOEFL問題への取り組みに集中すべきです。易しめの英語で書かれた本には、理解のスピードが追いつかないほど高度な表現や構文は出てこないので。
Reading 28、Listening 21くらいなら、TOEFLのListening問題「全体」に対して
「スクリプト(を見ながらの1文ずつの)リピーティング」と「音読」
を行うことをお勧めします。
スクリプトリピーティング、音読ともに「意味を理解しながら」行わなければなりません。
日本語に訳したり、構文を分析しながら意味と取ろうとすることなく、意味をスッと理解しながらスクリプトリピーティング、音読できるようになるまで繰り返してください。また必要に応じて単語確認、黙読、復唱* などを行いましょう。
※ 「復唱」とは、1文、また長ければ1文の途中までを音読し、次にその箇所を何も見ないで繰り返す作業。1文を見ないで繰り返して発話するためには、そこで使われている表現に慣れければならない。
意味理解が難しいところがその人の弱点であり、問題なく理解できるようにすることにより弱点を潰してくことが大切です。ここを意識せずに、大まかな理解のまま次の問題に進んでしまう人はListeningスコアが伸びにくい傾向があります。
ここまでの話で
「意味理解が難しいところである弱点を潰すのが大切なら、そこだけに対してスクリプトリピーティングや音読などを行えばよく、問題全体に対して行う必要はないのでは?」
と疑問を持つかもしれません。
確かにおっしゃる通りです。Listeningスコアが「安定して」24点以上(80%以上の正解率)取れているなら、それでいいと思います。
しかしListeningで21(正解率70%くらい)を取ることある方は手間でも、1ヶ月くらいは問題全体に対してスクリプトリピーティング、音読を行うことにより、英語表現全体に慣れた方がよいと考えます。
なぜなら、本人は理解は問題ないと感じていても、理解がちょっと遅れるところがあったりすると、そこでのちょっとした遅れがその次の分の内容理解に影響することがあるので。
「いや、自分は表現の意味を確認した後、何度も問題音声を聞いて、その結果、ちゃんと聞き取れ意味が分かるようになっている。だから(問題全体に対して)スクリプトリピーティングや音読など行う必要はない」
と感じる人がいるかも。もしそのように思うのであれば、ご自身が「表現が聞き取れ、意味が分かる」と感じる問題に対して、スクリプトを見ずに問題音声を聞いてシャドウイングを行なってください。シャドウイングの際、はっきり発話する必要はありません。耳から聞こえた音声表現を軽くモゴモゴとでも口を少し動かしながら、口から音を出しても出さなくても表現どおりにシャドウイングしてみましょう。
音声(を聞いてスクリプトを見ないでの)シャドウイングが最初から最後まで「意味を理解しながら」できるなら、その問題は卒業でOKです。TOEFLのListening問題に対する音声シャドウイングは難易度が高いので私はListeningで22以上がほとんどの人のみにお勧めしています。そこまでのListening力がない方は、学習法の実践の結果、問題音声を聞いて「表現が聞き取れ、意味が分かる」と思えたらその問題は卒業でいいと考えます。Listening力が高くない場合、音声シャドウイングのような難易度が高い学習法の実践は消化不良になりやすく、実力向上につながりにくいので。
(またListeningスコア10点台以下の方が意味を理解しながら音声シャドウイングできるようにすると、1つの問題に対してかなり時間がかかってしまいがち。毎日の学習時間が多く取れる方以外はそのような取り組み方は挫折しやすかったり、問題が進まないことに対してフラストレーションを感じやすいのもListening力が高くない方に音声シャドウイングをお勧めしない理由になります)
最後に
以上、今回の記事ではReadingは高得点だがListeningはそれよりも数点低い人に対するListening問題への取り組み方を提示しました。TOEFLのListening問題ひとつひとつを着実に消化しながら問題への取り組みを進めていきましょう。
Listening力は音声認識やスピードへの対応力など運動神経に近い能力が求められるので、すぐには実力が養成されにくく、大幅実力アップには時間がかかりやすいと言えます。それがTOEFL対策はListeningへの取り組みからの開始をお勧めする理由のひとつ。焦ってはいけません。
Readingは上がっているのに、Listeningはあまり伸びないと感じる方は、上記を参考に自分の取り組み方を見直してください。取り組んでいる目の前の問題へ学習法の実践を通して、その問題においては着実に「より聞き取れる」「より理解できる」と実感できているならば、他の問題に対して同様の取り組みを続けていけば Listening力は伸び、Listeningスコアは上がります。Listeningスコアが上がらないことに不安を覚える場合はご自身のListeningへの取り組み方を確認しましょう。
以下、今回の記事と関連する過去の投稿です。
» TOEFL Listening:聞き取れる、理解できるようになるにはどう学習したらいい?
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