TOEFLスコアが伸び悩んでいる読者の方からコメント欄に100点獲得のためのご相談をいただきました その5
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の続きです。その2、3、4はご相談いただいた方のReading対策について書きましたが、今回はListening対策について。Listeningへの取り組みに関しては以下の報告をいただき、Reading、Listening両方に対してのスコア獲得戦略はすでにお伝えしています。
(茶色の字がご相談いただいた方、黒字が私。赤字は私がつけています)
ご相談いただいた方へ回答しながらも、同じような状況の人にも参考になればと願います。
Listeningについてのこれまでの振り返り
以下、これまでのListeningに関係する部分のコピペ。Readingの対策方法に関しては「その2、3、4」でお伝えしました。
> 最終的には1年以内のスコア100点越えを目指しています。
2021/9/1 R:18 L:14 S:15 W:19 Total 66
2022/1/15 R:20 L:16 S:14 W:20 Total 70
2022/12/3 R:26 L:18 S:16 W:17 Total 77
2023/6/3 R:19 L:13 S:17 W:20 Total 69
2023/6/8 TPO23
R 18 (21 of 33, 64%), L 18 (18 of 28, 64%)
3. TPOの問題にはどのくらい取り組みましたか。Reading、Listeningそれぞれいくつのセット分でしょうか。
⇒Reading,Listeningともにそれぞれ7回ほどになります。
それぞれの回ごとに以下を実施しています。
R:単語や不明点の確認→パラグラフ毎に精読→通し読み
L:聞こえなかった箇所の確認(聞き直し)→スクリプト確認→単語や句の確認→不明点のみ精読→通しで聞く
TPOのRについては、正直やめようかなと思っており、理由としては文章がたまに間違っていたり(カンマがない等)、正解の選択肢の根拠が腹落ちしない部分がたまにあるため、消化できないと感じているためです。
TPOのLについては、特に問題なく感じております。
ただし、公式の問題集に比べると、質は落ちるとのコメントもたまに見ているため、Deltaの問題集に取り組もうかと検討しております。
・とはいえ、TOEFL対策を開始してから2年ほどの経ちますが、その間に取り組んだReading、Listeningの問題はOfficial GuideとTPO 7セットというのはかなり少ないです。
ご相談内容からReading、Listening問題の消化が十分にできてはいかなかったと推測されますが、学習の質があまり良くなかっただけではなく、量が十分ではないのも伸び悩みの理由と考えます。
⇒学習の量についても、試験の2、3か月前から、問題集を解き始めており、
Listeningは毎日Podcastを聞いていたりしたものの、とにかく公式の問題集の取り組む量が少なかったと反省しています。
⇒現在はいかのとおり目標を定めて直して取り組んでいます。
平日:3時間(実際は3時間できることもあるし、1時間のときもあります)
週末:12時間(土日6時間ずつ)
1週間:27時間
Listening
一番得意と思っていたのに、TOEFLの問題を解くようになってから、苦手意識を持っています。問題の内容は7割は確実に聞き取れている自覚があるし、分野によってはすべて聞き取れるものもありますが、回答で不正解の選択肢を選んでしまっているようです。
また集中力切れ、会場の雑音(Listeningを実施中に他の人がSpeakingを始める)により、落としてしまった問題もあると思います。
TOEFLの問題は解いてしまったので、中国TPOや、Podcastにも足を踏み言えれていり、ネイティブのスピードについていけたし、大丈夫!と思っていましたが、今回のListeningで13点というスコアをたたき出してしまい、勉強法が間違っていたのかと困っています。
TPO23の受験をお勧めしたのはRLの実力を確認するため。6/3の前の受験は半年前ですし、Listeningは13と大幅に下がったものの、当日会場での雑音などにより集中力が切れたということなので。
今回のTPO23の結果から、6/3のL 13は実力を反映したスコアと考えなくてもよさそうです。ただ試験環境がよくないときや当日の集中の度合いによってはこのくらいのスコアになる可能性はあります。
反対に Readingは12/3で26が取れたが、6/3の本試験、6/8のTPO23の結果は18−19なので、このあたりが自分のReadingの実力と判断して今後の取り組みを進めましょう。もちろん現在でもまた26が取れる可能性はありますが、このときはたまたま運が良かったと想定した方がよいでしょう。
ということで、R 18-19、L 18、S 16-17、W 17-20、Total 69-74 くらいが、TOEFLにおける現在の実力を反映したスコアと考えましょう。
このスコアに基づいて判断する取り組みの優先順位の高いセクションはReadingとListening。まずはReading 24(79%くらいの正解率)、Listening 23(75%くらいの正解率)獲得を目指して、RL優先の対策を進めるべきです。
RL合計47が取れれば、S 16、W 17と低めのスコアが出ても80に到達します。目標は100以上であり、80点を取ったこと自体に価値はないかもしれませんが、実力アップを示す指標にはなります。
80と目標の100には大きな開きがあるものの、まずRLで5−6点のアップを安定的に達成できるようになるには、問題を解いているときにその差を明確に感じられるほどの実力アップが求められます。
では、どのように取り組むべきか?
ご相談の方がこれまでReading、Listening対策として過去2年間に取り組んだのは
(青の)Official Guide
TOEFLテスト英単語3800
中国TPO(RとLのみ)7セット
「その1」で書きましたが、2年間での学習の量としてかなり少ないです。確かにこれまでの取り組みによりスコアは伸びています。Listeningは18が取れるようになりましたし、Readingでもおそらくは運に恵まれたとはいえ26が取れました。ここでのスコアアップは過去の学習の成果と考えます。
しかしながら、今後さらに大幅なアップが必要なため、今後1年間でこれまでの2年間に取り組んだ問題量の倍くらいを進める必要があるでしょう。なので、これからの半年間で過去2年間と同じくらいの量を進めるべきです。
ListeningとReadingのバランス
Listeningが本試験で13点だったこと(その後、模試で18が取れたのでこの13は気にしなくていいと判断)から、まずはListeningに集中して、目標スコアである27の獲得を目指すべきと思う人がいるかも。しかしご相談の人もそうですが「Readingの方がListeningよりも得意」という人は、Listeningだけを頑張ってもReadingスコアを超えるほどにはなりにくいと言えます。つまりListeningスコア向上のためにReadingスコアを大幅にアップさせなければなりません。
Readingは26を取ったことがあるものの、その次に高いスコアは20なので、18くらいのListening力を(上で伝えたように)23に上げるには、Readingは24−25くらいが取れるようにする必要があると考えてください。なので学習はListeningだけに集中はせずに、普段の学習時間が「平日3時間、土日6時間」なら
Reading:Listening = 1:1〜2
と、ListeningはReadingと同じから2倍の間くらいで並行して進めていくのがよいと考えます。
Listening対策として何に取り組む?
過去には「Listeningは毎日Podcastを聞いていたりした」とのことですが、今後、このような取り組み方はお勧めしません。決して「PodcastではListening力が上がらない」「TOEFLのListeningスコアが上がらない」ということではありません。しかしTOEFLとは関係ないPodcastでTOEFLのListening力を上げようとするのは、例えば野球の練習をして、ラグビーの実力を向上させるようなもの。何もしないよりは野球の練習をした方が、ラグビーがうまくなるのは理解いただけるかと思います。なので「野球の練習でラグビーがうまくなる」やり方を否定はしません。まあ、だいたい野球部の人にラグビーをやらせるとそこそこ上手かったりしますよね。
でもラグビーにはラグビー特有の技術があったり、練習方法があります。「野球の練習の方が楽しいし、ラグビーの練習はやりたくない」なら野球の練習を続ければいいと思います。そのような判断と実行により、よい結果が出る人もいるでしょう。「野球だと10時間練習できるがラグビーなら1時間」なら、野球を10時間練習した方が身体能力が上がり、その結果、ラグビーにおいてより上達が期待できそうです。でも限られた時間の中で効果的な練習を求めている人に対しては、ラグビー(ここではTOEFLのこと)の専門家として当然ながら野球の練習は勧めません。
「いや、PodcastはアカデミックなものでTOEFLの問題と内容が似ているならOKでは?」という人がいるかも。もちろんPodcastでListening力を向上させるなら、そのPodcastの内容はできるだけTOEFLで出題される内容、語彙・文法のレベルに近い方がいいです。しかしながら単に聞いて理解するPodcastと、聞いた内容に対して(RLSWにおいて)様々な形で理解を問うTOEFLの問題では、似たスポーツでありながらルールが大きく違うようなもの。スポーツそれぞれにおいてルールは大幅に異なり、勝つためにはルールに適応した能力向上が求められます。
また単に読んだり、聞いたりしているだけでは、細かく正確に理解できているか分かりません。ご相談の方もそうですが「聞き取れている」「理解できている」と思うが問題に間違うのは、実は十分に理解できていない、理解できていると勘違いしていることを示しています。このようなタイプの人はTOEFLの問題を通して、理解できていなかった、理解が間違っていたところを正確に理解していく作業を継続していくべきです。
今回はここまでとします。次回の「その6」ではListening対策について、続きを書きます。
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