【再掲】TOEFL 100点の実力なら、Reading 1つのパッセージあたり知らない単語は10個未満?
以下、過去記事の再掲です。
トフレの受講生の方から、100以上を獲得するためにどのくらいの単語力が必要かについて質問をいただきました。面白い質問なのでご質問の掲載許可をご本人からいただき、このブログ上で回答します。
別件になってしまいますが、追加で質問させてください。TOEFL100点を目標とする際の語彙力に関してです。
私はTOEFLの問題に取り組んだ時には分からなかった単語を明確化し個数をカウントしております。例えばリーディングパッセージを読んだ時にどのくらい分からない単語があっても良いものなのでしょうか。TOEFL100点を目標にリーディングを鍛錬していくと分からない単語に遭遇することがほとんどなくなるという記事を見たことがあります。私の想像では概ね1パッセージ当たり、分からない単語は10個未満になるのではと考えております。
また、トフレの教材の中には単語リストがありますが、私はこのリストを単語帳アプリに取り組み全部覚えようと取り組み始めております。ただ、デルタとオフィシャルガイド教材における単語リストを全て統合すると単語数は12,000語ほどになります。そのため、取り組んだパッセージを何度も読みながら、時には日にちを置いて再度読み直すなどして単語を覚えた方が良いかもしれないと考えております。
これらに関して先生のお考えをお伺いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
ご質問では100以上が目標という前提ですが、100点が取れた人でもReadingは24の人もいれば29の人もいるので、ここでは日本で英語教育を受けてきた人たちの一般的な目標スコアとして私がお勧めする
Reading 28、Listening 27、Speaking 20-22、Writing 25
でのReading 28獲得を目指すと想定します。
2時間版の新形式のTOEFLではReading 28を取るために間違ってよい問題数は2問くらい。正解率だと91%ほど。新形式のReading問題は2パッセージなので、1パッセージあたり1問までなら間違っても大丈夫というイメージ。
ではそのくらいの正解するには、1パッセージあたり知らない単語がどのくらいまでならよいのか。ご質問の方は
> 私の想像では概ね1パッセージ当たり、分からない単語は10個未満になるのではと考えております。
と「10個未満」という数字を挙げていますが、大まかにはそのくらいでしょうか。
とはいえ10個未満と言っても、それが2−3個なのか、8−9個なのか気になる方もいるでしょう。
TOEFLのパッセージでは専門用語が多く使われている場合もよくあり、そのようなパッセージではもともと知らない単語が多くてもいいので、何語くらい知らない単語があってもいいとはっきりと伝えることはできません。
以下のブログ記事では
» TOEFL Reading:出題される可能性の低い単語を一生懸命覚えているかも
Official Guide、Official Tests Vol. 1の中の18のReadingパッセージに対する単語の意味を紹介していて、そこでは単語・表現を
1.「TOEFLを受けるなら知っていなければならない基礎的な単語・表現」
2.「TOEFLで高得点を取るために知っておくべき単語・表現」
3.「この問題に取り組み済みの人は覚えたい単語・表現」
の3つにカテゴリー分けしています。
Readingで28以上を「安定して」獲得するには、
1.「TOEFLを受けるなら知っていなければならない基礎的な単語・表現」
は、ほとんど知っていなければならない。また意味を知らないものがあっても、文脈から意味を推測できるなければならないレベル。
2.「TOEFLで高得点を取るために知っておくべき単語・表現」
は、半分以上知っていて
3.「この問題に取り組み済みの人は覚えたい単語・表現」
は、もともと知らなくてもよい、という感じ。
過去に本試験で出題されたこれら18のReadingパッセージでは、2.「TOEFLで高得点を取るために知っておくべき単語・表現」と 3.「この問題に取り組み済みの人は覚えたい単語・表現」の語数の合計が 4語のときもあれば、30語を超えるときもあります。
ちなみに以下、30語を超えるもの2つ。
» Official Tests Vol. 1 Reading Test 1 Passage 1 “Deer Populations of the Puget Sound” の単語
2.TOEFLで高得点を取るために知っておくべき単語・表現:23語
marshy, flood plain, understory, dormancy, compensation (for 〜), built-in, browse, bushy, fluctuate, markedly, in the same breath, fort, dot, worsening, plight, encroach on, biotic, insure, profound, tract, deforest, nutritive, clearing
3.この問題に取り組み済みの人は覚えたい単語・表現:9語
sound, browse on, fair-weather, arboreal, fodder, bemoan, succulent, picturesquely, bode ill for
» Official Tests Vol. 1 Reading Test 2 Passage 1 “Minerals and Plants” の単語
2.TOEFLで高得点を取るために知っておくべき単語・表現:17語
serpentine, chlorophyll, discoloration, overabundance, sodium, lead, mercury, aluminum, zinc, hundredfold, of choice, microbial, compound, compost, reburial, remediation, alpine
3.この問題に取り組み済みの人は覚えたい単語・表現:15語
necrosis, stunted, herbaceous, phosphorus, petiole, saline, cadmium, nickel, cobalt, manganese, legume, microbial, pathogen, off site, smelter
2つめのMinerals and Plantsの方は「もともと知らなくていい」単語が15語も含まれています。
ということで「目安」として1パッセージ10語未満くらいのイメージを持ってもいいのですが、そこにとらわれてはいけません。難易度の高い単語が多いパッセージが出題されることもありますし、また意味を知らない単語が少なくても内容や設問が難しかったりするので、知らない単語の数にこだわる必要はないと考えます。
しかしReading問題においては 「100以上が目標なら、1パッセージあたり1問間違いくらいまで」と正解数・正解率は明確であり、ある1パッセージで知らない単語の数が10以上あっても、普段、1パッセージ18分の制限時間で解いて不正解の問題が1問くらいで「安定している」なら、目標スコアを獲得するのに十分な単語力があると言えます。
「とにかく単語を覚えればReadingで高得点が取れる」と考えるフィジカルタイプの人もいますが、その戦略で高得点が取れるようになる人はいるものの、Readingで大幅なスコアアップが必要な人のほとんどは、単語力以外に、解答力、論理力、文法力、英文処理速度、背景知識も向上させる必要があるので、単語力向上に時間をかけすぎないようにバランスを取ることが大切です。
» TOEFL Reading:単語学習に逃げてないですか?
Reading問題であれば、大切なのは取り組み済みの問題パッセージを「意味を理解しながら、スラスラ読める」ようにすること。
パッセージを読む(読み直す)際に、意味を忘れてしまった専門用語があるが、文脈上、その用語の意味は大まかに分かる、ならその用語のことは気にする必要はありません。単語を全部覚えることに学習時間の多くを使うのではなく、Readingなら、英文を読む、聞く、問題を解く、問題の解き方を確認することを優先しましょう。
ちなみに質問をいただいた受講生の方のReadingスコアは20−23。今回のブログ掲載の依頼に対する返答で、現在のご自身の単語力について以下の状況をお知らせいただきました。
> 自分の場合はリーディングパッセージにおいて重複含めて40個以上分からない単語が出てくることもありますので、このレベルまでいくと流石に厳しくなるだろうと言った印象です。
1パッセージあたり40以上意味がわからない単語があると、他のReading力(解答力、論理力、文法力、英文処理速度、背景知識)が高くても、90%くらいの正解率には到達しません。スポーツにおいて。テクニックのレベルが高くても基礎的なフィジカルが足りないために活躍できないような状況。なのでReadingスコアアップのために単語力向上が必要なのは間違いありません。
1パッセージあたりで知らない単語が10語未満になることを目標に取り組んでいくことはよいことと考えますが、単語力におけるその目標がなくても、取り組み済みのReading問題の単語を覚えていけば、単語力は必然的に向上し、徐々に「10語未満」に近づいていきます。また取り組み済みのパッセージが「意味を理解しながら、スラスラ読める」ようになれば必然的に、そのパッセージの単語をほとんど分かっていることになります。
トフレのReading、Listening教材の単語リストの語数の合計が12,000ほどと相談の中にありましたが、重複を除くとおそらくは8,000-9,000くらいになるかと思います。8,000語だと市販の単語本の倍の語数ですが、TOEFL試験においては8,000-9,000語を全部覚えても、本試験では意味を知らない単語が出題されることはあります。それだけの単語力があっても、問題の中には知らない単語が含まれることもあり、だからこそ、単語力だけを頼りにしないReading力アップ、つまり解答力、論理力、文法力、英文処理速度、背景知識の向上が大切です。
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