大学院合格までの取り組みと大学院出願におけるTOEFL高スコア獲得の重要性のご報告をいただきました
オンラインTOEFL iBT対策コース Web TOEFL 受講生のHさんから97の獲得と大学院(ロースクール、LLM)合格までの取り組み、そして大学院出願におけるTOEFL高スコア獲得の重要性に関してご報告をいただきました。
Hさんが受講されたのは以下の8コース
Listening Delta 18 Dayコース(2011年7月半ばから)
Reading Delta 18 Dayコース(2011年7月末から)
Integrated Writing 4 Dayコース(2011年8月半ばから)
Listening Official Guide 8 Day演習コース(2011年8月末から)
Reading Official Guide 8 Day演習コース(2011年8月末から)
Independent Writing添削コース Set 1(2011年10月半から)
Integrated Writing添削コース Set 1(2011年10月半ばから)
Independent Writing添削コース Set 2(2011年11月半ばから)
以下はHさんからのありがたいお申し出を受けて、私からTOEFLへの取り組みのご報告を依頼し、書いていただいたものです。
これまで同様、TOEFL対策のご報告を依頼させていただく際は「書き方は自由で、30分くらいで書けるもの」とお願いさせていただいているのですが、Hさんのご厚意で、かなり詳細に渡る内容となっています。
また、セクション別の取り組みだけではなく、大学院での出願者審査における「ローリングアドミッション」について詳しく説明してくださっています。
Web TOEFLのコース・サービスに対して辛口のご意見をいただいている部分もありますが、これまで通り、書いていただいたものはそのまま掲載させていただきます。
(いただいたご意見は改善できるよう努力していきます)
Hさん、TOEFL受験者の方々のために、長い時間をかけて取り組みのご報告とアドバイスを書いていただき、心より感謝申し上げます。
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葛山先生
ブログ掲載のご依頼ありがとうございます。以下に私の取り組みなどを書かせていただきました。
私はTOEFL69点からスタートし、ウェブトフルのおかげで、約半年で97点まで到達しました。そして、第1志望ではないものの、有名校への合格を果たすことができました。しかし、その間スコアの伸び悩みに本当に苦しみました。しかし、最後に、なんとかWで29点を取ることができ、97点を取得することができ、これが結果的に有名校合格の要因になったと思います。
あまり大したスコアは出せなかったものの、私の、取組み、スコアの変遷が受験生の皆様の励みになれば幸いです。
1.バックグラウンド
(1) 法律家
(2) 2012年夏よりロースクールへ留学希望
(3) TOEIC 785点(2000年)
(4) TOEFL受験暦は2011年6月~
(5) 国際機関に勤務し、海外在住。日常業務では簡単な英語を使用する機会あり。
(6) 勤務先との契約が2012年3月に切れるため、留学が決まっていないと無職となる可能性があった。
2.スコアの変遷
2011/06/19 16, 17, 18, 17 69
2011/07/09 19, 22, 17, 20 78
2011/07/23 23, 20, 20, 22 85
2011/08/14 26, 22, 19, 25 89
2011/08/27 20, 22, 18, 21 81
2011/08/28 22, 20, 20, 22 84
2011/09/18 25, 24, 20, 25 94
2011/09/25 22, 20, 19, 21 82
2011/10/16 24, 22, 20, 22 88
2011/10/22 24, 22, 22, 25 93
2011/10/30 24, 20, 17, 24 85
2011/11/13 22, 23, 17, 24 86
2011/11/20 28, 23, 20, 24 95
2011/11/26 25, 26, 20, 22 95
2011/12/11 スコア出ず
2011/12/18 24, 24, 20, 29 97
2011/01/08 26, 25, 22, 22 95
3.試験対策
(1)受験勉強の開始
2012年夏に留学をしようと思っていたこと、業務柄、英語を使用することがあったため、単語力向上等、英語の勉強はちょくちょくしていました。しかし、今思うとTOEFLスコアに直結した勉強はしていませんでした。
私が留学のためにTOEFLを意識し始めたのは、2012年3月の契約期間の契約終了時期が見えてきた2011年3月でした(ただ、自分としては、業務で英語を使っているので、7回くらいTOEFLを受験すれば大丈夫だろうと甘く見ていました)。
3月からは、以下の教材を購入して独学でTOEFLの学習をぼつぼつ行っていました。
旺文社 TOEFLテスト英単語3800
アルク はじめてのTOEFLテスト完全攻略
Z会編集部 受験英語からのTOEFL IBTリーディング
USA Clubの教材
YoutubeのTOEFLスピーキングに関する動画
上記の教材を60~80%消化して、自分なりに行けると思って、初めて臨んだTOEFLが2011年6月でした。しかし、このときに、あまりにもできず(スコアも69点でした)に、これはまずい、と焦りを感じました。このときから、私は、本格的な勉強をしなければならないと思いました(このように、2012年から留学することを決めていたのにもかかわらず、本格始動は相当遅いものでした)。
まずは、TOEFLの学習方法を見直すこととしました。ただ、私は、常に海外にいるため、日本のように予備校に通うという選択肢は、私にはありませんでした。そこでウェブで学習できるのはないか、と探した結果、ウェブトフルにたどり着きました。同社は、海外にも教材を送ってくれるということで、藁をもつかむ気持ちで早速、講義を受け始めました。
(2)各パート対策
Rに関し、
Rに関して言えば、解法の会得、読むスピードのアップが課題でした。前者については、講義(DELTA リーディング、OGリーディング)から教えていただきました。単語、指示語、挿入文、要約問題の解法は、全体のスピードアップにつながったと思います。課題は内容一致問題と内容不一致問題の正答率の向上でした。
後者の、読むスピードの向上は、とにかく問題に慣れていくことでした。特にパソコンの画面を見て理解することがTOEFLリーディングでは求められますので、通常の読解スピードに加えて、パソコンの画面での読解スピードを上げるということが課題でした。ウェブトフルの講義内演習はよい練習になったと思います(ただ、ウェブトフルの最大の不満は、文章と問題文が上下になっていること、ノートパソコンでは画面が小さくなる傾向があり文章が読みにくくなることです。すみません、忌憚ない意見を言わせていただきました)。ウェブトフルの問題演習のほかには、インターネットの英語サイトを読むことも試みました(OG 3rd Edition自体が勧めています58頁参照)が、問題がないので、意識的に読むことができず、やはり続きませんでした。そこで、教材と問題集を解き続けるという方法を使用しました。
最初は、DELTAを、そして続けてOGをやっていきました。いずれも2周以上やりました。その上で、BARRON‘Sを購入し、これもRに関しては2周やりました。この時点で、2011年10月下旬でした(このころからRのスコアを安定的にとれるようになってきました)。さらにこれをやりつくすとMastering Skills TOEFL iBTというベトナムの本を解きだしました。問題自体は、あまりTOEFL風に作成されていないのですが、問題文が圧倒的に多かったので、読むスピードを維持・向上させるために使用しました。それでも28点を安定的にとることは難しく、伸び悩みがありました。
単語に関しては、英語の学習をしていた3月頃から、TOEFLテスト英単語3800のレベル1,2は100%、レベル3は、90%をめざし、覚えていきました(なお、付属のCDを聞いて覚えるかどうかは、好みの差があると思いますが、私にはまったく合いませんでした)。レベル4は、覚えておくに越したことはないのでしょうが、短い時間の中で、成果を残すには、ちょっと適さないので、ほとんど取り組みませんでした。これと並行して、DELTA、OGの中に出てきた単語を、ウェブトフルの単語テストで確認しつつ、覚えていきました。これにより、単語が全くわからないため、問題ができないということは避けられるレベルまで行けたと思います。
Lに関して、
Lに関しては、TOEFLの中でもっとも苦手科目でした。今でも苦手です。いくら海外で英語を使用して仕事をしていても、それはネイティブの英語ではないため、TOEFLの英語はとても早く感じるのです。
そこで、先生のご指導に従い、キーポイントを中心に聞き取るということを目指しました。「メモを取り過ぎない」、「高得点を取得する人でもすべてが聞き取れているわけではない」という先生のお言葉は、本当に目からうろこが落ちる思いでした。
このほか、主に対策として行ったのが、復唱、シャドーイングでした。朝一番と夜中に行いました。私の課題は、簡単な単語からなる文節が聞き取れず、結果として、内容を把握し損ねる、ということでしたので、復唱を行って英語独特の表現方法に慣れていくこと最優先しました。その結果、11月ころには、いきなり壁が取れたように英語を聞き取れるようになった感じがしました。ただ、聞いた内容が言い換えられた選択肢には最後まで対応することができずに、Lの伸び悩みを感じていました(今でもそうです)。
なお、復唱、シャドーイングは、語彙、表現方法の向上等、スピーキングの話す力の向上にも役立ちました。
Sに関し、
Sに関しては、セクションごとに簡単に説明いたします。
セクション1、2は、出題内容が予測できず、たまにむちゃな質問もでますが、ここで、失敗するとメンタル的にとあとのセクションにも響くので、とにかく自分の最低限のテンプレートを見出し、これを利用していました。
私が利用していたテンプレートは次の通りです。結論、理由① The reason why~、 理由② In addition, 〜、結論、Anyway, 〜です。このテンプレートのメリットは、理由が最初から何個あるか明示しないので、調子に乗って理由①が長くなってしまったときに、いきなり結論にいけて、途中解答の印象をぬぐえるという点だと思います。
セクション3、4、5,6はいずれもテンプレートが決まれば点数を確保できるようになりました。
業務柄、英語を話す機会が多かったのか、20点までは割とすんなり行けました。それを突き抜けるために、セクション3,4,5,6の問題傾向を把握し準備するようになったら、問題との相性によりましたが、うまくいけば22点が狙えるようになりました。
Wに関し、
Integrated taskは、最初、別の教材のテンプレートを使用していたのですが、伸び悩みに合いました(8月には、ウェブトフルのIntegrate問題の講座を受けていたのですが、従前のテンプレートを使用していたためです)。そこで、9月くらいから、ウェブトフルのテンプレートを多少自分なりに改造して利用するようになりました。ウェブトフルのテンプレートは、暗記量が少なく、自然な流れなので、とても便利でした。ウェブトフルのIntegrated taskに関する講座受講の結果、Integrated sectionでは、Goodを取れるようになっていきました。
Independent taskでは、ウェブトフルでもらえるテンプレートを利用していました(先生のブログでも掲載されているものです)。ただ、当該テンプレートを使用すると、言い換えが少なくなりがちで、ROD先生からrepetitiveである、と強く批判されましたが、TOEFLの試験では300字を簡単に超えられるので、重宝していました。
Independent taskの具体的な対策は、ウェブトフルでいただいた予想問題をこつこつ解く、という対策しかしていません。Independent taskで恐ろしいのは、TOEFL本番で、自分の見解を支える理由が複数思い浮かばないことです。私は、ある質問に対して肯定する意見を書いて、それを肯定するための強烈な理由が一個思い浮かぶのですが、それ以降思い浮かばない、ということがよくありました。これを防ぐためには、ウェブトフルの問題をこつこつ解いて、普段から複数の理由を考え、理由が二つ思い浮かんだ方の見解を採用する、ことがもっとも効果的であったと思います。
また、ウェブトフルのIndependent taskのサンプルエッセイで学んだことは、理由を支える具体例は、それほど大上段に振りかぶった具体例(例えば、世界的に問題になっていること等)ではなく、自分の体験等を用いればよいということでした。エッセイを格好よく書こうと思うと、どうしても大上段に振りかぶった具体例を出しがちですが、そんなに無理することはない、ということは目から鱗が落ちる気持ちでした。
あとは、文法を間違えない、時制に注意する、前置詞をなるべく注意すれば、Goodが狙えました。
その他、全体について
TOEFLは、試験慣れという、問題との相性もスコアに関係あります。そのため、勝負の時は、毎週受けました。あまり期間を開けると本番の感覚を失ってしまいます。特に月によっては、三週連続で試験があるときがありますので、そのとき私は勝負月として連続受験しました。
(3)学習時間の確保
TOEFLの対策には絶対的な学習時間確保が必要だと思います。仕事とTOEFLの勉強とどう掛け持つのか、というのは社会人にとっては、究極の課題だと思います。最終的には、自分のやりたいことを優先するのか、目の前の仕事を優先するのか、という価値判断にも結び付いてくると思います。
私は、結論的には、自分のやりたいことを優先しました。理由は、会社では、いざとなれば、自分の代わりの人材が割り振られます。実は補充はいくらでも効きます。確かに、クライアントには一時の迷惑がかかるかもしれませんが、私が留学して学んできたことを何らかの形で社会に還元すれば、社会的な常識をお持ちのクライアントはご理解くださるはずです。
また、周りの理解も大事だと思いした。私には、幸いにして同僚に理解者がいたので、仕事は、夜早い段階で切り上げられるようにしてもらうことができました。そして、飲み会等も本当に最低限の出席にしました。
これにより、平日は、夜は8時から夜12時まで、朝は5時半から7時20分まで、休日は終日の勉強時間を確保することができました。
4.最後に
TOEFLスコアは、大学院のアドミッションには非常に重要だと思います。私の場合、ロースクールだったのですが、ロースクールのアドミッションでは、エッセイの出題方法が決まりきっているので、どこで合格と不合格の差がつくかというと、TOEFLスコアとエッセイからにじみ出る英語力だと思います。結局は英語です。
もちろん、大学院のTOEFLスコア要求を下回っても合格することは不可能ではないと思います(もちろん絶対的足きり点を用意している大学院は別ですが)。なぜなら、大学院には毎年様々な学生が受験し、その数も景気によって左右されますので、景気が悪くて(あるいは景気が良くて)、ある年に、受験生が少ないと、TOEFLスコアが多少悪くても、大学院は、クラスの定員を満たすために合格させてしまう可能性があるからです。
しかし、逆にその年に留学希望者が多いとどうなるでしょうか。当然、競争になります。特にロースクールは、ステートメント、レジュメも結局似たり寄ったりしているので、やはりTOEFLスコアが合否を決める要因となってしまいます。したがって、TOEFLスコアは高い方が断然よいと思います。
特に大学院はローリングアドミッションという制度を採用しています。要するに、申請順に審査し、合格させたい順から合格させる制度です。そうすると、あるときに申請した者がTOEFLスコア110点、もう一人がミニマムスコアを下回る95点だったとします。その場合、やはりTOEFLスコア110点の方が合格しやすい傾向があると思います。そして、アドミッションオフィスは、95点の人はとりあえず置いておき、(waiting listという通知を出すこともあります)、別の申請人の書類審査に移って行ってしまいます。
その後、定員が埋まってしまえば、95点の方は不合格となり、その年の定員が埋まらなければ、waiting listの中から再審査される、ということになります。つまり、95点の方にはクラスの定員が埋まっていない場合にしかチャンスがない、ということになります。
また、この方が合格できるとすると、合格発表はいつになるでしょうか?4月下旬以降です。つまり、通常の合格通知より、合格が大幅に遅れるということです。そうなると、どうなるのか、というと、
・2月、3月に周りの友人が合格しても自分だけ合格通知が来ないので友人の合格を素直に喜べない、
・首を長くして合格を待つことになり、仕事が手につかない、
・ビザの申請の前提となるI-20の手続きが進められない、
・第一志望校でないところに、Depositを納めなければならない、
・サマースクールもどこに行くのか決められない(留学先が決まらないとサマースクールも決めづらいです)、
・合格発表を出してくれた大学院には、行くといいながら最後には裏切ることになってしまう、
といったような、精神的にも、経済的・社会的によろしくない状態に陥ります。
TOEFLのスコアが低いまま、大学院に申請するということは、そういうリスクがあるということです。皆様においては、是非高いスコアを確保し、余裕をもってアドミッション準備をしてください。
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