TOEFL iBT OG 4th Editionでの変更点詳細 その5
OG 4thでのSpeakingセクションに対する変更点の説明の続きです。
範囲は変わらず、TOEFL iBT Official Guide 4th Edition
3.Speaking Section (pp. 165-194)
前回の投稿では
> では、Speakingセクションにおいて、回答を暗記することはスコアダウンをもたらすから止めたほうがいいのか?
という疑問を投げかけて終わりましたが、
Speakingの回答をどんどん暗記することをお勧めします。
そもそも話したり、書いたりするためには、表現の蓄積がなければなりません。
ネイティブスピーカーなら、長い期間に渡って、様々な表現を聞いたり、読んだりしている中で、蓄積された表現を使って、話したり、書いたりします。
皆さんが日本語を話したり、書いたりする時、自分が使う表現のほとんどを、いつどこで学んだか覚えていないはずです。
外国語学習においても、表現をアウトプットするには、インプットの蓄積がなければなりません。
そしてTOEFL受験者の方々が、Speaking、Writingに苦労するのは、蓄積された表現が足りないからです。
では、どのような表現を蓄積するのがよいのか?
言語は状況において使うべき言葉が変わります。
例えば、就職活動の面接の際に使う言葉と、友人同士で話す言葉は大きく異なります。
発話を求められる場に対しての準備をすべきであり、TOEFL Speakingで高得点を取る必要があるのであれば、TOEFL Speakingにおいてよく使うような表現を多く含んだものを覚えるのが一番です。
ただ、そのインプットを1回読んだだけでは、その内容を発話できるようにはならないものです。
ネイティブスピーカーなら、何度もの繰り返しによるインプットの結果、アウトプットできるようになります。
しかしノンネイティブスピーカーには、ネイティブと同じくらいの時間はありません。
よって、いかに効率的にインプットを行うかが大切になります。
TOEFL Speakingでうまく話せるようになりたいのであれば、TOEFL Speakingにおいて使える表現を蓄積する必要があります。
その最も有効な方法は、 自分がこのように話せるようになりたいと考える回答を覚えることです。
ただ、「暗記」「覚える」とは言っても、暗記した、覚えたものは忘れてしまうもの。
でも忘れてもいいんです。
一度覚えたものは、完璧ではないにしても、自分の表現力に蓄積され、どこかで役立ちます。
また1つの回答を全部覚えることが難しくても、1文ずつなら覚えられますよね。
1文ずつを音読や復唱をし、表現力をアップさせましょう。
「復唱」の説明は以下をご覧ください。
前回お伝えしたように、OG 4th(p. 168)では
Raters will know it is a memorized response because the rhythm, intonation, and even the content of the response will be very different from a spontaneous response. They are easy to identify.
と書かれていますが、spontaneousな回答をするためにも、TOEFL Speakingで使える表現を蓄積する必要があります。
まるまる覚えたものをそのまま回答で使えたとしても、その回答のリズム、イントネーション、内容が不自然と判断されるようなことはほとんどないはずです。
(上記のWritingのIntroductionのように、内容や表現がよっぽど不自然なものであれば別ですが)
覚えた回答や書いた回答を読みあげ、ネイティブスピーカーに発音、イントネーション等を指摘してもらうことによって、英語としてより自然な、ネイティブスピーカーにとってより理解しやすい発音、イントネーションを身につけていくことはSpeakingスコアアップに有効です。
留学中の英語力アップ方法 その5 〜 Speaking編(2011年12月2日)
また回答例を一度覚えることによって、TOEFL Speakingで出題されるかもしれない問題に対するネタを増やすことができます。
Speaking対策 その2 「こじつけ回答法」(2010年4月17日)
ETSは、回答を暗記して話されるのを嫌います。
理由のひとつは、今回4thへの変更でわざわざ追加したように、不自然な表現・内容の丸暗記や、暗記の過程で身に付けた不自然な発音・イントネーションが受験者のスコアを下げてしまうから。
ただ、おそらくはその理由以上にETSが困るのは、TOEFL Speakingのスコアが、受験者のSpeakingの実力を反映しなくなるからでしょう。
例えば、英語をあまり話せない人が、Speakingのある回答をまる覚えすることによって、高得点を取ってしまった場合、ETSはその人の留学先の大学から、TOEFLのSpeakingスコアがその人のSpeaking力を正確に示していないと責められることになります。
ETSにとって、TOEFL受験者のアカデミックな英語力を正確に判定することが何よりも大切なのです。
TOEFLのvalidity「有効性」を追求するために、TOEFLはPBT(Paper試験) → CBT(コンピューターでの試験、SpeakingセクションやIntegratedタスクはなし) → iBTと試験を進化させてきたので。
とは言っても、TOEFL受験者の立場としては、できるだけ早くTOEFLスコアアップ達成を求めるのは当然であり、SpeakingとWritingにおいて回答例を覚えることは、TOEFLにおけるSpeaking、Writing力アップに有効であると言えます。
実際に、その方法で多くの方が高得点を獲得できるようになっていますので、心配は要りません。
長くなってしまいましたが、話をOG 4th Edition、Speakingセクションでの変更点に戻します。
2.p. 170 Question 3の出題形式の細かな変更
3つ目のタスクであるQuestion 3での、Readingの内容を受けてのListeningの部分において、3rdでは
You will then listen to two people (or in some cases, one person) discussing the topic and expressing an opinion about the topic from the reading.
と書かれていたのが、4thでは以下のように変わりました。
You will then listening to two people discussing the topic and expressing an opinion about the topic from the reading.
つまり、Question 3でのListeningは必ず2人による話になり、1人が話し続けることはないということです。
ただ、Speakingでの3つ目のタスクのListeningが1人による話になっている市販の問題集はほとんどないでしょうから実際に皆さんが気にする必要はありません。
もし、Listening部分が1人で話される問題があった場合、このタイプは今後出題されることはないと分かっていればいいでしょう。
3.p. 171 Question 3のReading理解に与えられる時間の細かな変更
同じQuestion 3において、reading passageを読むための制限時間が 3rdでは
You will be given between 40 and 45 seconds to read the passage, depending on its length, after which you will listen to the discussion.
となっていたのが、4thでは以下のように変更されています。
You will be given 45 or 50 seconds to read the passage, depending on its length, after which you will listening to the discussion.
3rdでの”between 40 and 45 seconds”だと、42秒とか43秒がありうるということになってしまうので、明確にするためにorに変更されましたが、確認しておきたいのは、当然そこではなく、40 or 45秒が45 or 50秒へと変わったことです。
ただ、TOEFL受験者が、制限時間が何秒と覚えている必要ないため、これも皆さんが気にする必要はありません。
4.p. 180 Question 5の回答の指示における変更
OG 3rdでは、Question 5で求められる回答に関して
The question you are asked when the conversation has endend has several parts: you are asked first to describe the problem that the speakers are discussing, then to state which of the two solutions you prefer, and finally to explain why you prefer that solution. The reasons you give for your preference can include information provided by the speakers in their discussion as well as your own experiences.
と説明していますが、それが4thでは青字が赤字のように変わりました。
The question you are asked when the conversation has ended has several parts: you are asked first to describe the problem that the speakers are discussing, then to state which one of the two solutions you prefer (note that you do not need to talk about both solutions), and finally to explain why you prefer that solution. The reasons you give for your preference can include information provided by the speakers in their discussion as well as your own experiences.
ここで取り上げられている、2つの解決策両方の説明が不要であることに関しては、以前に五十峰先生がSpeaking対策記事の中で取り上げています。
「えっ、そうだったの!?」と思った方は必ず以下に目を通して下さい。
Integrated Speaking – Task 5 落とし穴と対策(2011年4月26日)
TOEFL iBT OG 4th Editionでの変更点詳細、次回はWritingセクションに関してです。
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