TOEFL Essentialsについて現在TOEFL iBT対策に取り組んでいる人が知っておくべきこと
TOEFL Essentialsの各セクションの問題に関するより細かな情報と3つのプラクティステスト(サンプル問題)が5/19に発表されました。このブログを読んでいる方のほとんどは、すでにTOEFL iBT対策に取り組まれている、またはこれから開始しようと考えているはず。よって皆さんの関心は「TOEFL iBTからTOEFL Essentialsに切り替えたほうがいいか?」という疑問かと思います。
まずTOEFL Essentialsについて知っておかなければならないこと3つを伝えます。
1.受験開始は今年の8月21日を予定。
2.受験は自宅でのみ。会場受験はなし。
3.コロナ禍によりマーケットを大きく広げたDuolingo English Testに対抗するために開発された。
1.受験開始は今年の8月21日を予定。
TOEFLスコアが8月半ばまでに必要という方はEssentialsは関係ありません。
2.受験は自宅でのみ。会場受験はなし。
出願先の大学が、自宅受験のTOEFL(Home Edition)のスコアを認めていないなら、Essentialsを受け入れることはないでしょう。またiBTとは異なり、Essentialsは自宅受験のみなので、ほとんどの日本の大学がEssentialsのスコアを認めることはないと予測。日本の大学では、合否判断においてスコアが非常に大切なので、カンニングの可能性が想起される自宅受験のみの試験を受け入れることはないと考えます。
3.コロナ禍によりマーケットを大きく広げたDuolingo English Testに対抗するために開発された。
少し説明にお付き合いください。
昨年、新型コロナウィルスの世界的蔓延により北米の大学のほとんどにおいて留学生数が激減しました。「アメリカの大学に行きたくても入国できない」「入学してもオンライン授業だから魅力がない」「北米ではコロナウィルスの感染者、死者数が多く、留学するのが怖い」などが理由。そのような状況において北米の大学の多くは、留学生数を確保するために出願の要件を緩和しました。それが以前は不人気だったDuolingoの採用。
Duolingo English Testはオンラインで50ドルほどで受験可能。200ドル以上(日本は245ドル)のTOEFL iBTよりもずっとお得。
大学に出願する側としては、受験費用は安いほうがよく(また試験時間はたったの1時間)、それで英語力証明の要件を満たせるのならと多くの人がDuolingoに乗り換えました。結果、TOEFL iBTの受験者は減り、奪われたマーケットを取り返すためにETSは低価格で受けられるTOEFL Essentialsを開発し、以下のようにDuolingoを公然と批判しています。
なぜDuolingoの話をしたのかと言うと、あなたの出願先がDuolingoを認めているなら、TOEFL Essentialsでの出願をOKにするはず。DuolingoとEssentialsどちらでも出願できるなら、両方受けてみて高得点を取りやすい方を選ぶのがいいでしょう。Duolingoを受け入れている大学は以下から確認できます。
» Duolingo English Test、テスト利用団体
しかし、あなたが志望する大学・大学院の学部・プログラムがDuolingoを認めていないなら、Essentialsを受け入れない可能性があります。
以上の3つのポイントだけで、Essentials受験を考慮に入れるべきかどうかが分かります。
TOEFL Essentialsを受けようと思う人は
Essentialsを受けるのもありかもしれないという人は、以下から各セクションの問題を確認してください。今すぐチェックする必要はありません。試験は8月21日にスタート、申込み開始は6月17日からです。
» TOEFL Essentials Listening Section
» TOEFL Essentials Reading Section
» TOEFL Essentials Writing Section
» TOEFL Essentials Speaking Section
» Personal Video Statement(採点はされない)
それぞれのセクションの説明動画を見ればどのような試験か大まかなイメージが持てます。4セクションすべての動画を見ても合計8分ほど。すぐに確認できます。
問題全体を見たいという人は、Practice Testを受けてみましょう。1セットあたり1時間15分くらい。またPractice Testでは解答せずに問題を飛ばせるので、問題のイメージをざっととらえることもできます。
» TOEFL Essentials Test Content「試験概要」
» TOEFL Essentials Practice Test 1-3
Practice Test 1の問題を確認しましたが、以下、大まかな感想です。
A.TOEFL iBTと比べると、非常に簡単な問題が多い
B.TOEICとTOEFLのペーパー版の問題を合わせた感じ
C.Academic EnglishとGeneral Englishが半々と謳っているが、Academicな内容はかなり少ない。なので、TOEICで高得点が取れる人はEssentialsでもよいスコアになりそう
こんな試験で、TOEFL iBTよりももっと高いレベルの英語力を測定できると発表しているのはどうかなーと。本当にそれが可能ならiBTの問題・時間を半分にしたらいいのに。
今回の発表から試験内容等に関して非常に多くのことが分かったものの、大切な2つが抜けていました。
1つ目は、Practice Testがadaptiveになっていない。adaptiveの場合、正解が続くと問題の難易度が上がります。実際の試験ではPractice Testよりももっと難しい問題が出題される可能性あり。
もう1つは、問題の正解数(正解率)とスコアの関連が不明。何問正解すれば何点になるという指標がないので、受験者はどのくらいを目指せばいいか分かりません。
まとめ
あなたの志望校がTOEFL Essentialsのスコアを認めているなら、早めにEssentialsを受けることをお勧めします。最初の頃はデータが十分に揃っていなく、高めのスコアが出やすいかもしれないので。また準備としてできるのは3つのPractice Testを解くくらいであり、試験対策にあまり時間がかかりませんし。
個人的には、Essentialsは人気のない試験になるのではと予測します。iBTで高得点を求める学部・プログラムがEssentialsの問題を見て、 iBTと同様のものと判断するとは思えません。またiBTで高得点を求めない大学の多くは、DuolingoでもOKと判断し続けるでしょうし(一度認めたものをダメとは言いにくいのでは)。
このブログの読者の多くはTOEFL iBTで高得点を狙っているので、そのほとんどの方にとってはEssentialsは関係ないのでは。なので、Essentialsに関しては今後、あまり情報発信をしないと思います(状況によっては気が変わるかもしれませんが)。
とはいえ今回、公式サイトに多くの情報が追加されたので、読むだけでもEssentialsに関してかなり知ることができます。
あと以下、参考まで。
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