【新TOEFL解説③】2026年1月から大幅刷新! Writingセクションはどう変わる?
以下の記事の続きです。今回はWritingセクションがどう変わるのかを伝えます。
今回もサンプル問題を見せながら、どのような問題「形式」になるかを紹介します。
» 【新TOEFL解説①】2026年1月から大幅刷新! Readingセクションはどう変わる?
» 【新TOEFL解説②】2026年1月から大幅刷新! Listeningセクションはどう変わる?
3.Writing
Writingセクションでは以下の「3つ」のタイプの問題が出題されます。
1.Build a Sentence(並び替え)
2.Write an Email(メール作成)
3.Write for an Academic Discussion(意見表明)
意見表明問題(Academic Discussion)は、現行のTOEFLの形式がそのまま残った唯一の問題。
※ “Write for an Academic Discussion” はこれまで “Academic Discussion” と呼んできました。しかし “Build a Sentence”を「並び替え」、”Write an Email” を「メール作成」と呼ぶことにしたのに伴い、今後、”Academic Discussion”は「意見表明」と呼ぶことにします。新TOEFLは問題の種類が多くなったので、短い呼び名をつけることにします。
(ただし、現行のTOEFLのWritingセクションの話をするときは、基本的にはAcademic Discussionという名前を使います。もう一つのタスクをIntegrated Writingと呼び、対比してきたので。また対策コースはすでにAcademic Discussionという名前で作成済みなので、そこでは当分の間 Academic Discussionのままにします)
現在のTOEFL Writingの問題は、Integrated WritingとAcademic Discussionの2種類で、配点は半々になっています。
しかし、Integrated Writingに代わり、新たなタスクとして追加される「並び替え」と「メール作成」の2つが合わさって、Writingセクションの配点の半分を占めるのか、それとも3分の2などもっと大きな割合を占めるは、現時点で公表されていません。
問題タイプ別の問題数と制限時間について
Writingセクションの問題数は12問と公表されています。Reading、Listeningとは異なり、この問題数は確定しているようです。問題数と制限時間は以下の通り。
問題数 | 制限時間 | |
並び替え | 10問 | 5分50秒 |
メール作成 | 1問 | 7分 |
意見表明(Academic Discussion) | 1問 | 10分 |
問題は、「並び替え」「メール作成」「意見表明(Academic Discussion)」の3種類ですが、並び替えが10問、メール作成が1問、意見表明が1問になります。
制限時間ですが、ETSによる目安の時間は「約23分」となっています。「メール作成」は7分、「意見表明(Academic Discussion)」は10分と公表されているのですが、「並び替え」の時間が不明でした。
そのような状況で、オンライン公式模試を受験したところ、「並び替え」の制限時間は5分50秒と確認できました。ですが、この5分50秒は公表されてはいないので、本試験開始時には変わるかもしれません。
» Updated TOEFL iBT Test Overview
» Test Content and Structure(TOEFL公式サイト)
» Full-Length Practice Test 1 & 2(オンライン上で解ける問題)
Build a Sentence(並び替え)
Build a Sentence「並び替え」とはどのようなタイプの問題か、実際に問題を見れば明らかになるでしょう。
下の2問を解いてみてください。
W: What was the highlight of your trip?
M: The _____ _____ _____ _____ _____ _____ fantastic.
were / the / was / old city / showed us around / who / tour guides
W: We’re planning a trip to the mountains next weekend.
M: _____ _____ tell me _____ _____ _____ _____ ?
the cabins / available / whether / can / will be / you
この2問は、オンライン上で解けるPractice Test 1のもの。解く前に以下の指示が表示されていました。単語や表現を空欄に入れ、文法的に正しい語順にするという問題です。
一般的には「語順整序」や「語句整序」問題と呼ばれています。入試の英語問題や、その昔の英検でこのような問題を見たことがあるかと思います。
今後、この問題を「並び替え」と呼びます。
新TOEFLの並び替え問題は、最初の問題のように不要な1語が含まれている場合があります。
また2問目のように、文の途中の単語が表示されていて、その前後を並び替えるものもあります。
正解を伝えます。
W: What was the highlight of your trip?
M: The _____ _____ _____ _____ _____ _____ fantastic.
were / the / was / old city / showed us around / who / tour guides
正解:(The) tour guides who showed us around the old city were (fantastic). ✕ was
W: We’re planning a trip to the mountains next weekend.
M: _____ _____ tell me _____ _____ _____ _____ ?
the cabins / available / whether / can / will be / you
正解:Can you (tell me) whether the cabins will be available?
これらの問題から分かるように新TOEFLの並び替え問題は、最初の話者の発言に対する返答の文を作ることが求められます。会話の流れを必然的に意識することなりますが、だからと言って、最初の話者の発言内容の理解がポイントというほどではありません。
» Updated TOEFL iBT Test Overview
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並び替え問題は10問出題されます。
問題の難易度ですが、上で紹介した2問よりも易しいものもあります。以下のような「中学2年生用の文法問題か!」と思うようものも。
(これらはすべてPractice Test 1内の問題です。しかし中には「そんな問題出すの?」と感じるようなトリッキーなものもあり、そのような問題に対してはどこかのタイミングでブログ記事で取り上げようかと考えています)
並び替えの制限時間は5分50秒。1問あたりでは35秒。
頭の中で文を組み立てるのは早いと思いますが、すべての単語をドラッグアンドドロップしなければならなく、上手く操作できずに単語がもとの位置に戻ってしまうこともあるので、簡単な問題でも意外と時間がかかります。並び替えでつまづくと、次のメール作成でネガティブな感情を引きずるおそれがあるので、ここは全問正解、または自信のないものがあったとしても全問解答したいところです。
並び替えでは、以下のような中1-2レベルの問題が出題されることもあります(すべて公開されたサンプル問題)。
W: I’m looking forward to the concert this weekend.
M: _____ _____ _____ _____ _____ ?
does / what / time / it / start
正解:What time does it start?
M: I need to buy groceries today.
W: _____ _____ _____ _____ _____ _____ ?
list / do / a / have / shopping / you
正解:Do you have a shopping list?
W: I’ll be taking a cooking class this weekend.
M: _____ _____ _____ _____ _____ ?
learn / what / will / you / recipes
正解:What recipes will you learn?
このような易しい問題を見て「Adaptiveになっているの?」と思う人がいるかもしれませんが、WritingセクションはAdaptiveになっていません。前半の問題の正解率によって、後半の問題の難易度が変わるAdaptiveが採用されているのは、ReadingとListeningセクションだけです。なので、このような問題が出題されても、その前の問題を間違ったからということではありません。
ではなぜこのような易しい問題も出題されるようになったのか?以下をご覧ください
こちらはCEFRのレベルと現在のTOEFLのスコアの対照表。
(CEFRとは、Common European Framework of Reference for Languages(ヨーロッパ言語共通参照枠)の略で、外国語の能力を6つのレベルで評価・分類する国際的な指標)
この表は、CEFRとの対照において、赤丸の箇所が示すように現在のTOEFLのスコアはスコアがバラバラで分かりにくいことを伝えるために作成されたものですが、A1、A2レベルにおいてはN/A(not applicable「当てはまらない、適用されない」)になっています。つまり、現在のTOEFL iBTは、40点以下のスコアになるような初級レベルの人の英語力測定には適していないことを伝えています。
新TOEFLはA1、A2のような初級レベルの人たちの英語力も測定することを意図しており、だからこそ、かなり易しい問題が含まれています。このブログを読んでいる英語上級者の方々にとっては全く関心のないことかと思いますが、例えば、北米などの大学付属の英語プログラムで外国人学生に教えているネイティブの先生たちにとっては、1つの試験で初級、中級、上級レベルの測定ができる便利なものになる、また問題の難易度が低いものもあるし、また問題が短いので教えやすいと、新TOEFLは歓迎されているのです。
レベル別がないWritingセクションで、非常に易しい問題が出題されることに戸惑いを覚える人もいらっしゃるかと思いますが、自分のレベルを測定する問題ではないと考え、気にせずにさっさと解きましょう。
Write an Email(メール作成)
以下、Practice Test 1のメール作成問題(Write an Email)の問題です。ご確認ください。
読みやすくするために、文字起こししたものを下に表示します。
Write an Email
You will read some information and use the information to write an email.
You will have 7 minutes to write the email.
A new poetry magazine has asked its readers for submissions, and you decided to submit two of your poems. However, you had a problem using the online submission form, and you are not certain that your submissions were received.
Write an email to the editor of the magazine. In your email, do the following.
・Tell the editor what you like about the new magazine.
・Describe the problem you experienced.
・Ask about the status of your submissions.
Write as much as you can and in complete sentences.
Your Response:
To: editor@sunshinepoetrymagazine.com
Subject: Problem using submission form
求められているのは7分間で、青字の問題を読み、指示にそったメールを作成すること。
青字の部分は86語。1分くらいで読み、どのような内容にするか考え、書き始めます。
メールのタイトル(赤字)はすでに書かれているので、考える必要はありません。
(メールのタイトルは “Problem using submission form” となっていますが、”you had a problem using the online submission form”について書けという指示があるため、内容は必然的に「オンラインの投稿フォームを使う際に発生した問題」についてになるので、タイトルとの関連性は一切、気にする必要はありません)
A new poetry magazine has asked its readers for submissions, and you decided to submit two of your poems. However, you had a problem using the online submission form, and you are not certain that your submissions were received.
「新しく創刊された詩の雑誌が読者に作品の投稿を呼びかけており、あなたは自作の詩を2編投稿することにしました。しかし、オンラインの投稿フォームを使う際に問題が発生し、自分の投稿が正しく送信されたかどうか確信が持てません。」
Write an email to the editor of the magazine. In your email, do the following.
「編集者にメールを書いてください。メールでは、次の内容を含めてください:」
・Tell the editor what you like about the new magazine.
「新しい雑誌のどのような点が気に入ったかを伝える」
・Describe the problem you experienced.
「経験した問題について説明する」
・Ask about the status of your submissions.
「自分の投稿の受付状況について問い合わせる」
Write as much as you can and in complete sentences.
「できるだけ多く、完全な文章で書いてください。」
この問題の読んだ人の多くがこう思うのではないでしょうか?
「新しく創刊された詩の雑誌の気に入ったところ」を書くって、何を書けけばいいの?どんな雑誌か、どこにも書いていないけど。
「オンラインの投稿フォームを使う際に問題が発生し、自分の投稿が正しく送信されたかどうかが分からない」ということだけど、どんな問題が発生したの?それも書いていないんだけど。
そう、書いていないんです。なので、自分で「でっち上げていい」んです。
言い方を変えれば、自分が書ける内容・表現で書いていいんです。
では、この問題に対するETSのサンプル回答を確認しましょう。
“High-Level”のサンプルなので、評価点4−5になりますが、ETSのワークショップ担当者に尋ねたところ評価点5レベルとのことでした。
Hi Editor,
I hope you are well! I wanted to say that I really love the new Sunshine Poetry Magazine. It’s refreshing to see such a diverse range of voices, and the layout is very engaging. However, I had some trouble with the online submission form when I tried to submit two of my poems. After I uploaded the files and hit submit, the page just kept loading and loading, and eventually, I wasn’t sure if my poems can successfully sent. Could you please confirm if you received my submissions? I’m really excited to be a part of your magazine and would appreciate any help you can provide to fix this issue. Looking forward to your response.
Best regards.
語数は115語。
赤字は、決まり文句、またはメール作成問題という文脈において使える可能性が高い表現。
青字は、筆者が創作した(でっち上げた)箇所。「新しい雑誌のどのような点が気に入ったかを伝える」、「経験した問題について説明する」という指示に対応しています。
筆者は “the new Sunshine Poetry Magazine” と雑誌の名前を創作していますが、your new poetry magazine などの表現でももちろんOKです。
「気に入ったところ」に対しては、
It’s refreshing to see such a diverse range of voices, and the layout is very engaging.
「まざまな声が取り上げられていて新鮮ですし、レイアウトもとても魅力的です。」
と記述しています。ここでのrefreshingやengagingという表現に対しては、「自分には思いつかないな」と思われるかもしれません。
ですが、自分が使える表現を書けばいいのです。例えば、I was impressed by … とか、I especially enjoyed … などの自分が慣れている表現を書きましょう。
「経験した問題」に対しては、
After I uploaded the files and hit submit, the page just kept loading and loading, and eventually, I wasn’t sure if my poems can successfully sent.
「ファイルをアップロードして『送信』ボタンを押した後、ページがずっと読み込み中のままで、最終的に自分の詩がちゃんと送信されたかどうか分からなくなってしまいました。」
と説明していました。ここでは特に難しい表現が使われていませんね。
青字でも赤字でもないところは、問題の指示に使われていた内容や表現そのままであり、このくらいで「高評価」になるなら、自分にとってありがたい問題と思う人も多いかと思います。
ただし、ETSの担当者による「評価点5」レベルという話は、検証が必要と考えています。5が取れる可能性も十分にあると考えますが、このくらいのレベルで5が取れるなら、現在のWritingセクションと比べ、より高いスコアになる人が増えそうなので。もしかしたら、評価点5にはもう少し高いレベルの表現が求められるかもしれないとも考えています。
メール作成問題のScoring Guideでは、評価点5と4の違いは以下のように説明されていますが、実際にどのレベルだと評価点5レベルでeffectiveなのかはETSの判断なので。Scoring Guideを伝えて ChatGPTに評価させている人もいたりしますが、改善のアドバイスとしては有効なものの、評価点の判断はズレていることが多いです。そのように評価点の判断は難しく、今後の調査で見極めていきます。
(評価点5)
-
Elaboration that effectively supports the communicative purpose
-
Effective syntactic variety and precise, idiomatic word choice
メールを書く状況やこのタイプの問題で求められていることに対しては以下のように説明されています。
メール作成問題で使える表現を覚え、いくつもの問題に取り組むことによって、このタイプの問題で高評価を取れるようになると、実際に留学したときや仕事で英文メールを書きやすくなるので、その点において実用的なよい問題だと思います。
Academic Discussion(意見表明)
意見表明(Academic Discussion)問題は、現行TOEFLと新TOEFLで変わらないので、ここでは特に取り上げません。これまでブログやYouTubeで説明してきたので。
» TOEFL Writing:Academic Discussionの評価基準 5点、4点、3点 の違い を説明します!
» 【改訂版】TOEFL Writing:Academic Discussionで高評価が取りやすい理由
Academic Discussionに関するブログ記事は他にもありますが、上のYouTubeの内容と重なるので、このくらいにします。
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